「アペちゃん」と揶揄する話を聞いたとき | ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

ASD【自閉症スペクトラム】女係長 鹿島じゅんの日常生活はサバイバル!

25年以上1つの会社に健常者として勤務し、係長として人の上に立つようになった私が、
どのようにASD(自閉症スペクトラム)の特性と折り合いをつけて生活しているか、
その方法をお伝えしていきたいと思います。

私は今の支社に、
昨年の4月に転勤してきたため、
その前の事は知らないのですが、
以前、うちの部署で採用していた、
パート勤務の方が、
どうもアスペルガー症候群の特性を、
持っていた方のようでした。
※現在アスペルガー症候群は、
ASD(自閉症スペクトラム)という呼名に、
統合されています。

現在は発達障害という言葉が、
かなり浸透してきているため、
私の会社でも、
人と言動が違っている人をみると、

「あの人は発達障害じゃないの?」

という言葉を聞くようになりました。

ただ、発達障害の1つである、
アスペルガー症候群の人間に、
知的発達の遅れはほとんど無いのですが、
(詳しくは厚生労働省のe-ヘルスネットをご覧ください)
一般的な認識では、
知的にも遅れていると思われているらしく、

アスペルガー症候群=仕事が出来ない

というイメージが出来上がっているようで、
おかげで人間性は"真面目過ぎて難あり"と思われていても、
仕事は出来るという評価を受けている私は、
職場の上司や部下から、
発達障害者だとは思われていないらしく、
(私は精神科医からASDの可能性が高い
という所見をいただいています)

かえって定型発達者の上司や同僚から、
私も定型発達者だと思われて、

「あの人は発達障害じゃないかと思うけど、どう対応すれば良いかな?」

という相談を受けることも度々ありました。

その発達障害だと思われる相手が、
自分の部下だった場合には、
私は自分が発達障害当事者として、
社会で生きるために自分で考えた、
仕事がやりやすい方法を教えたり、
自分がその部下に仕事の指示をだす時に、
その部下が理解しやすいような、
具体的な行動で指示を出すようにしたりして、
なるべく発達障害だと思われている人達の、
サポートをするように努めてきました。

私は発達障害というだけで、
仕事が出来ないと思われることが、
とても悔しかったのです。

特にASD(自閉症スペクトラム)は、
あまり皆んながやりたがらない、
地道でコツコツとした作業でも、
嫌がらず真面目に黙々と働くため、

【はまる仕事を与えられたら素晴らしい能力を発揮する】

と考えていました。

そのため以前、
社会保険庁のずさんな年金記録管理が元で起こった、
年金記録問題が世間を騒がした時には、

「言われたことはきっちりやらないと気が済まない、
アスペルガーの人達に任せていたら、
こんな問題は起こらなかったのに!!」

と思っていました。
(あくまで私個人の考えです)

だから私の部下の1人が、
何かの話の折に、
以前パート勤務をしていた、
アスペルガー症候群の特性を持った方を、

「アペちゃん」

と陰で揶揄していたという話を聞いて、
私は何だか、
凄く意地悪な気分になってしまいました。

だって、
アスペルガーは仕事が出来ないという前提で、
その部下は話しているけれど、、、

あなたはそのアスペルガーである私の部下で、
私から仕事の指導を受けているからね?

という気持ちで、
一杯になってしまったからです。

そんなこととは露知らず、
以前一緒に働いていた"アペちゃん"が、
どんなに仕事が出来ず、
迷惑な人間だったかを私に話す部下に、
私は愛想笑いを返しながら、
こんなことを考えていました。

こういった周りの反応が、
自閉症スペクトラムを、
自閉症スペクトラム"障害"に変えてしまう

んだろうなぁ、って。

知的能力が劣っている訳では無い、
自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群)は、
学校の勉強が皆んなと同じに出来たように、
仕事も皆んなと同じに出来る能力があります。

ただ、もともと、
コミュニケーション能力が低い自閉症スペクトラムは、
それまでの生育歴から自分に自信が持てない人間が多い上に、
その特性からくる人と違う言動により、
会社という組織の中ではバカにされたり、
イジメにあったりしやすいため、
精神的疾患に陥りやすく、
"障害者(2次障害)"になってしまうのだと、
私はそのように考えているからです。

困難が無ければ障害ではない。

これは私が自分が発達障害か知りたいと、
受診した精神科で、
医師から言われた言葉ですが、
この言葉が障害と特性の境目を、
如実に現していると思います。

特性があるから障害があるのではないのです。

"アペちゃん"と揶揄した部下だけが、
特別に性格の悪い人間なのではなく、
世間の発達障害者に対する、
一般的な認識がこうなのだと思います。

社会の認識を変えることは簡単ではありません。

だから。
とっても小さくはあるけれど。

今、社会で頑張って生きている私が、
自分のASD(自閉症スペクトラム)の特性の、
有用性を知らしめることで、
世間の認識を変えるキッカケの、
1つの波紋になれればいいな、
と思っています(〃ω〃)