何故、子宮外妊娠は分かり難い? | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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 子宮外妊娠の診断は難しいのです。

 

 その理由は、正常妊娠であっても妊娠5週以降でなければ、子宮の内腔に胎嚢が見えません。ですから、妊娠反応が陽性となった時点では、子宮内妊娠でも、子宮外妊娠でも、ほぼ同じような検査結果となります。体外受精や不妊治療を受けておられるような場合は、子宮外妊娠ではHCGの値が低い場合もありますから、子宮外妊娠を疑うことはあっても、自然妊娠ではまったくわからないと思います。

 

 先のブログでも書きましたように、もともと自然妊娠では、卵管が細い場合や癒着のある場合に、受精卵が卵管内で引っ掛かってしまい、卵管内にトラップされ、そこで胚が着床してしまい、子宮外妊娠になると考えられていました。

 

 ところが、体外受精では子宮腔内に胚を戻す(胚移植)にもかかわらず、卵管妊娠(子宮外妊娠)が起こるのですから不思議です。子宮の収縮で胚が卵管内に押し出されるとか、胚は子宮内に移植されても一度卵管内に入り、それから子宮内にまた戻って来る、など様々なことが言われます。

 いずれにしても、体外受精の時の子宮外妊娠の確率は、自然妊娠より少し高いのですから驚きです。

 

 子宮外妊娠が分かりにくいもう一つの理由は、子宮外妊娠はHCGの上昇が不良なのですが、子宮内妊娠でも胚に何らかの異常があり発育が不良であれば、HCGの上昇も不良となり、胎嚢もなかなか見えません。

 

 まして、胚が卵管から腹腔内に流出して着床すれば(腹膜妊娠や腹腔内妊娠)、腹腔内は大変広いのでエコーで腹腔内の胎嚢を観察することは難しくなります。

 

 以上のような様々の要因で、子宮外妊娠の診断が難しくなります。

 基本は、妊娠5-6週で子宮内に胎嚢が見えず、流産もしていないのにHCGが上昇すれば子宮外妊娠を疑います。

 そして、子宮外、特に卵管内や卵巣近くに胎嚢と卵黄嚢が観察されれば、子宮外妊娠と診断されます。

 

 子宮外妊娠の治療の基本は手術です。ただ、その場所が分からない場合で、HCGの値がそんなに高くない場合にはMTXと呼ばれる薬剤(抗がん剤の一種)で治療されることもあります。