体外受精の場合、胚移植後の12~14日目に妊娠判定を行います。
私たちのクリニックでは血液中のHCGというホルモンを測定しています。
そもそも妊娠判定とは、胚が着床した時(胎盤の元になる細胞が子宮内膜内に侵入すること)に、その胎盤の元となる細胞(絨毛細胞と呼ばれるものです)から分泌されるホルモン(HCGと呼ばれます)が血液中に分泌されますから、そのHCGが母体血液中に存在するかどうかを測定して評価します。HCGが母体(胚移植を受けた女性)血液中に存在すれば、妊娠反応陽性(妊娠成立)と評価されます。
このHCGが血液中に存在すれば、尿中にも流れ出ますから、尿検査でも妊娠検査ができます。
このHCGの濃度により、ときにその評価の難しいことがあります。
この評価には、さまざまな要因が絡んできます。
1.胚移植をして何日後か?
もちろん日数が長い方がHCG値は高くなります。
2.分割胚移植か胚盤胞移植のどちらをおこなったか?
胚移植後から検査までの日数が同じなら、胚盤胞移植の方が通常は高くなります。
3.何個の胚を移植したか?
移植した胚の数でHCG値は変わりませんが、着床した胚の数が多い(多胎の場合)とHCG値は通常高くなります。
4.HCG値が低い場合は妊娠が継続しない可能性が高くなります。
5.HCG値が低い場合には子宮外妊娠の可能性が疑われるときもあります。
6.HCG値が異常に高い場合も注意が必要です。
妊娠は生物現象ですから、計算のようにHCG値がいくつ以上であれば大丈夫、とか、いくつ以下であれば絶対ダメ、というような決定的な数値はありません。
かなり低い値から出産まで継続する方も時にあります。また、妊娠継続が考えられないような低い値から、子宮外妊娠で手術が必要になる、ということもあります。
HCG値と赤ちゃんの染色体の正常や異常とも関係はありません。
妊娠判定を受けられた方は、その時のHCGの値に注意するとともに、医師の話を注意深く聞いてください。
ただ、多くの場合は医師から「良かったですね、妊娠されましたよ」と言われれば、すなおに喜んでいただいていいと思います。ただし、妊娠についても様々なことが起こることを知っておいていただきたいと思います。