胚移植の方法については患者様はあまりご存じないと思います。
尿をためることぐらいで、あとはすべて足元で行われますので、患者様には殆ど見えませんから、何をしているのか詳しくはご存じないと思います。そこで、その詳細をご説明します。
胚移植の方法です。
1.腟鏡(腟を開く金属の器具)をかけて膣を開きます。そして、生理食塩水で膣内の分泌物(いわゆるオリモノ)を洗い流します。このときガーゼなどを使いますので、ときに軽い痛みを感じられることもあると思います。
2.ガーゼを回すようにして、へばりついている粘液(頚管から排卵日近くに分泌される粘液です)を除去します。なぜなら、ときにこの粘液がカテーテルの出口を塞いでしまうことがあります。
3.培養液で子宮頚管(子宮の入口)をよく洗浄します。カテーテルが通るときにカテーテルの中にオリモノが混入しないように、培養液で洗浄しておきます。
4.お腹からの超音波エコーで子宮頚管から子宮内腔への道筋を確認します。
5.胚移植を行うのと同じカテーテルを子宮内腔にむけて挿入し、カテーテルがエコーでうまく観察できるかどうかチェックします。
6.いよいよ本番です。胚の入ったカテーテルを子宮内腔に挿入します。
7.カテーテルが子宮底(子宮の底に当たる部分)の手前、1センチぐらいのところに来たら、医師が合図をして、胚培養士が注射器の内筒を押し、胚の入った培養液が子宮内腔に注入されます。
8.超音波エコーで、2つの白い点が確認できます。この白く見えるのは空気で、実際はこの2個の泡(気泡)の間の培養液の中に胚が存在しています。
9.胚が注入されたら数秒間カテーテルを静止してから、ゆっくりとカテーテルを抜きます。すぐにカテーテルを引っ張ると、カテーテルの先端に胚が引っ掛かり、カテーテルと一緒に戻ってくることがあります。
10.引き抜いたカテーテルを顕微鏡のしたで洗浄し、胚が戻ってきていないことを確認します。胚が戻ってなければ、これで胚移植は終了です。
簡単なような胚移植、上に書いたようなステップを踏んで行っています。
皆様も、胚移植を受けられる時には、以上のことを気にして観察してみてください。