胚移植後の生活。 | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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大阪府東大阪市にあるIVF大阪クリニックは不妊治療専門クリニックです。「心と身体を癒す医療」をテーマとしています。

 胚移植後の生活について質問をよく受けます。

 

 胚を子宮の中に戻した後ですから、安静にした方が良いような気がしますよね。

 もちろんそうなんですが、ではどの程度の安静が必要か迷われると思います。


 結論を言えば、通常の生活で全く問題はありません。

 逆を言えば、安静度が高いからと言って、妊娠率が上がることはありません。


 昔は「ともかく胚移植のあとは安静にしなさい」と言われたものです。

 1980年代の体外受精のごく初期のころは、胚移植後は膀胱にカテーテルを留置し24時間は絶対安静としていました。それでも妊娠率は惨憺たるものでした。

 要するに体外受精の妊娠率は胚移植後の安静度とは関係がないのです。

 

 妊娠成立の大切な要因は、胚のグレード(PGT-Aをしていない場合は染色体は分かりませんから)と子宮内膜の状態、そしてその両方のタイミング、など我々にはまだわからない要素です。

 日本では、昔から安静を重要視していたのですが、海外では安静はあまり重要視されていませんでした。また海外からの最近の報告では、安静と体外受精の成績は関係しない、と言われています。

 

 ところが、これも日本人特有の精神論で、安静にしていた方が妊娠率が上昇しそうな気がするため、どうしても安静を気にする傾向があります。妊娠反応が陰性だった場合には、患者様自身が、安静にしなかった自分を責める、傾向もあります。そんなことはありませんから、気にしないように!


 それではどの程度の普通なのかが気になると思います。

 自転車はどうなのか:段差をガンガン行かなければ問題ありません。

 スーパーの買い物も、何十キロもの重い荷物を運ばなければ、通常のお買い物程度であれば問題ありません。

 お仕事も問題ありません。当院の看護師で体外受精を受けた者も、胚移植後休むことはなく普通に仕事をしていますが、妊娠出産しています。

 もちろん、胚移植後の激しいスポーツなどは、しばらく休む必要のあることは、常識的に判断できると思います。

 

 みなさま、胚移植後は通常通りの生活をして、リラックスしてお過ごしください。

 それが一番です。