体外受精の胚移植後の判定までの出血に一喜一憂されることがあると思います。

 胚移植後の出血についてご説明したいと思います。

 

 胚移植後は様々な原因で、少量の出血は起こります。

 胚移植の時には、腟鏡を掛けたり、膣の中を洗浄したりします。そのときに、かすり傷のような小さな傷ができ、そこから出血することがあります。このような出血は、胚移植後すぐから始まり通常は数日以内に止まります。その量もほんの少しです。問題ありません。

 

 胚を子宮の中に入れるとき、子宮の口からチューブを挿入します。チューブが子宮の中に入るときに、子宮の入り口の内膜を少し傷つけることがあります。そのような小さな傷から少し出血することがあります。このような傷からの出血が、胚移植後に数日続くことがあります。この出血もそんなに多いものではありませんが、胚移植に時間が掛かったり、子宮の口を硬い管で開いたりしたときには、小さな血の塊を伴うこともあります。スムーズな胚移植の後は少しの出血です。移植後数日から1週間ぐらい続くこともあります。このような出血も心配は要りません。

 

 胚移植してから10日目から14日目ぐらいに出血が起こることがあります。このような出血は、ときに子宮内膜の黄体ホルモンへの反応があまり良くないときに起こることがあります。判定前に出血しても妊娠していることもあります。

 この出血が少量で妊娠反応が陽性であれば、その時のHCGの値により経過が違ってきます。ただし、重要なのはここで薬剤を勝手に中止しないことです。

 薬を止めることで、継続するはずの妊娠がダメになることがあります。HCGの値の追跡が終わるまで決して薬を勝手にやめないでください。

 

 最後に、妊娠判定までに月経量ぐらいの出血が起こる場合です。このような時は妊娠が成立せずに出血している場合もありますし、また子宮外妊娠などの異常妊娠の可能性もあります。自己判断せずに、薬を継続して、かならずHCG測定(妊娠判定)に外来を受診してください。子宮外妊娠であれば深刻な事態が起こる可能性もあります。

 

 いずれにしても、胚移植後は妊娠判定までに、様々な原因で出血することがあります。出血したからと言って、自己判断で薬を中止せず、薬剤を必ず続けて、判定の日には外来を受診してください。HCGを測定するまで、妊娠の有無は判断できません。

 出血していても妊娠が継続することはありますから。

 

 胚移植後は様々な原因で出血することはありますが、出血イコール不成功、ではありませんから、薬剤を継続して判定日に必ず来院してください。