先のブログで分割胚(2日目、3日目胚)のグレードについて説明しました。
5日目以降の胚である胚盤胞のグレードについて説明いたします。胚盤胞のグレードはすこし複雑になります。
胚盤胞のグレードは”4BB”などのようにあらわされます。胚盤胞移植を受けられた方はご存知だと思います。
最初の数字が、胚盤胞の発育進行度を表します。胚盤胞の発育時期は1から6で表されます。
1がごく初期の胚盤胞。
2から3が中期ぐらいで、ここからABCのグレードが加わってきます。
4が拡張した拡張期胚盤胞。
5になると透明帯が破れ一部孵化が始まっています。
6は脱出胚盤胞とよばれ完全に透明帯の外に出ています。
これが数字の表す意味です。この数字は、あくまで進行度で、胚の良し悪しを表すものではありませんので、ご注意ください。
すなわち、2が4より悪いということではありません。まだそこまで進んでいないだけです。数時間後には逆転することもあります。
たとえて言えば、小学校4年生で、身長が高ければ4、低ければ2、です。ただ、どちらが早いかというだけで、どちらが良いかではありません。6年生になれば身長が逆転することも、よくあることです。良いか悪いかを表す数字ではないということです。早いか、遅いか、だけのことです。
ところが、成績は身長とは関係ないと思います。小さい子が成績が悪い訳ではありません。その成績が次に述べるグレードだと思っていただければと思います。
次のBBの部分が、いわゆるグレードになります。
胚盤胞になりますと、将来胎児(赤ちゃん)になる部分と、将来胎盤になる部分が分かれています。BBの、前のBは将来胎児になる部分のグレードで、後半のBは将来胎盤になる部分のグレードです。
このグレードはA,B,Cで表されます。Aが良好なら、Bは普通、Cは劣っている、と考えてよいと思います。ただし、この評価は、その部分の細胞の数が多いか少ないかで評価されますので、本当の意味での質は分かりません。
また、AとBとの間にそんなに大きな差はないと考えられます。すなわち、AかBなら、良いと考えてもらっていいと思います。逆に、Cはやや低いと言えます。
たとえば4BBや5ABなどはグレードの良い胚と考えていいと思います。
これも大切なことなのですが、4CCで妊娠されても4BBで妊娠されても、生まれてくる赤ちゃんの健康度には、グレードは全く関係しません。ここもよく覚えておいてください。
胚のグレードはあくまで、その時点での細胞の数の多い少ないで評価されています。染色体異常でも良好胚(グレードの良い胚)はいくらでもあります。
逆に、染色体正常でもあまりグレードの良くない胚もあります。グレードでは胚の本当の質は評価できないということです。
ただ、胚のグレードが良い方が妊娠率が高いのも確かです。
胚盤胞のグレードの見方、すこしは分かっていただけたでしょうか?
詳しい図に書いた資料、外来でお渡ししますので、お申し出ください。