胚培養士、地方で育成急ぐ:報道 | 不妊治療クリニック院長の福田愛作のブログ

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「胚培養士、地方で育成急ぐ 不足すれば不妊治療に壁 大学で講座 即戦力に」

 

 2021年に体外受精で生まれた子どもは、約11人に1人。女性の社会進出や晩婚化の影響もあり、不妊治療を選択する人は増加傾向だ。卵子や精子を管理し体外受精などを担う「胚培養士」の重要性も増す。一部の地域では胚培養士の不足感が出ており、働きながら不妊治療を受けたい人にとって両立が困難になる場合もある。大学では特別プログラムを設けるところが出てくるなど、育成を急いでいる-----

 

 以上のような記事です。

 

 久しぶりに胚培養士に関する報道がありました。2022年に不妊治療に対する保険適用の拡大が実施されるのを機に、胚培養士の資格が公的資格、すなわち国家資格に向けて動き出すのではと期待されました。

 

 皆様ご存知のように、体外受精の根幹は、配偶子(卵子や精子)の観察、媒精(ふりかけ法の体外受精)や顕微授精を行う、受精卵を培養して胚を育てる、胚移植の時に胚を選別し子宮内に挿入する(一部の施設では医師が実施しています)、などの部分です。体外受精の成績は胚培養士の腕によって決まると言ってもいいと思います。

 

 体外受精が保険適用になったにもかかわらず、胚培養士の扱いに変化は起こりませんでした。通常、保険医療には国家資格を有する職種しか関われないというのが常識でした。医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、すべてが国家資格です。

 ところが、体外受精の主要部分を担うにも拘らず、国家資格ではないのです。

 

 培養士サイドにも問題があり、二つの民間資格(日本卵子学会と日本臨床エンブリオロジスト学会)が存在していました。一つの民間資格でないといけないと、厚労省が長く国家資格への障害と考えていたところです。培養士側もその点を理解し、2024年より民間資格は一本化されます。

 

 いくら、胚培養士の養成機関を作っても、やはり胚培養士が国家資格にならないことには、胚培養士のためにはならないと思います。

 

 一日も早く胚培養士を国家資格とし、働き甲斐のある職業としていただきたいと思います。そうすることが、患者様への力にもなると思います。