夫リンパ球免疫療法についてご存知ない方も多いと思います。
そもそも女性の身体(ヒトの身体、男女関係なく)に他の生物は育たないのですが、赤ちゃんだけはお母さんの身体の中で生きることができます。これは免疫寛容状態というものが赤ちゃんに働くためだと言われています。ところが、一部のカップルではお二人の組織系の違いが少なく免疫寛容状態が生じないとされています。
この状態を調べる検査が、MLC(リンパ球混合培養検査)と言われます。MLC検査の結果により、免疫寛容が得られにくいカップルでは、奥様に男性のリンパ球を注射(ワクチンのような働き)することで、免疫寛容状態を誘起します。通常、男性リンパ球を女性に4回皮内注射(前腕内側にツベルクリン注射のように)します。その後に胚移植を実施することで、着床率の改善が期待されます。当院ではこの治療法で多くの方が妊娠出産されています。もちろん、他院からこの治療のためだけに来られる方も多くおられます(理由は後述)。
いまや新しい治療ばかりに焦点が当たりますが、このように、隠れた有効な治療法もあります。この治療法自体に副作用は殆どありません。ただ、安全にリンパ球免疫療法を実施できるのは、日本では当院だけだと思います。
というのは、日本産科婦人科学会が推奨する男性リンパ球へ放射線照射できる装置(投与の副作用防止に必要)を持っているクリニックは、(不妊クリニックでは)日本では当院しかないと思われます。当院でしかできませんから、他の施設でこの治療法が話に上ることはありません。副作用防止処理を行わずに実施しているところは、全国に数か所あると思われます。
当院では既に多くの患者様がこの治療で妊娠出産されています。男性リンパ球免疫療法を希望される方は、一度、当院を受診ください。その原理と治療法について詳しくご説明いたします。