胚培養士のWです。
今回は11月に開催された生殖医学会にて当院から発表した演題の内容をご報告いたします。
今回私は『AIによる前核数自動検出システムが3前核以上と判定した胚における誤判定原因の探索』という演題で口頭発表を行いました。
当院ではAIを利用した胚画像解析について、2017年から研究を開始し、受精卵の前核を自動で検出するシステムの開発を行ってきました。
・生殖医学会 #3「前核数自動検出システムについて」
・日本生殖医学会#2「前核数自動検出システムの検出精度から見た実用性」
・2020_アメリカ生殖医学会(ASRM)⑤
・2020_アメリカ生殖医学会(ASRM)④
・日本卵子学会②
・受精着床学会#4「前核数自動検出システムについて」
・前核自動検出技術、論文掲載!!
・日本生殖発生医学会 第15回学術集会に参加します
・受精着床学会に参加しました
・日本卵子学会①
今回の発表ではこの前核数自動検出システムの現状の課題を浮き彫りにし、今後の開発に活かしていくことを目的としています。
現在の前核数自動検出システムは、2前核と判定した胚では、その正答率は約99%というデータが得られており、当院では胚培養士の補助という形で臨床応用しています。
一方で、2前核以外と判定した胚では正答率が2前核と判断した場合と比較して低いことが分かっています。そこで、この原因について調査したところ、受精卵の細胞質の中にある空胞を核数自動検出システムが前核であると誤検出していることが分かりました(図1)。
図1. 空胞の誤検出
なぜ、空胞を前核と誤検出してしまうのか、この要因として考えられるのは、前核数自動検出システムの構造にあると考えました。
現在のシステムでは、まず受精卵の画像から前核の輪郭を検出し、その後検出した輪郭から前核数を判定するという、アルゴリズムを採用しています(図2)。前核と空胞の輪郭を見分けることは胚培養士にとってはたやすいことですが、AIにとっては。難しいことなのかもしれません。そのため、今後は前核の内部構造にまで着目し、AIを学習させることを計画しています。
図2. 前核数自動検出システムのアルゴリズム
AIの進歩により、ヒトの目による観察よりも正確な胚評価ができるようになれば、患者様の妊娠という結果までの時間をより短縮できる可能性があります。
その為、今後も引き続き研究を進めてまいります!!
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