こんにちは
先月末は夏日となり5月としては非常に暑かったですね。
そんな中、広島で開催された「日本卵子学会」の学術集会に参加してきました。
日本の生殖医療分野の国内学会は、「日本生殖医学会」や「日本受精着床学会」、「日本産婦人科学会」などの大きな学会がありますが、「日本卵子学会」は中規模の学会に当たります。
この日本卵子学会は「生殖補助医療胚培養士」の学会認定資格を発行していることもあり、多くの胚培養士がこの学会に所属し学術集会に参加します。
今回、当院から「マルチスライス画像を利用したDeep Learning技術による前核自動検出システムの改良」という演題で発表を行ってきたので、簡単に内容をご紹介します。
現在当院では、胚の培養はすべて「タイムラプスインキュベーター」で行っています。
(詳細は「2019年 始動!!」参照)
また、得られたタイムラプス画像を利用して、AI(Deep Learning)による「前核自動検出」の開発・改良を行っています。今回の発表はその中の一つです。
(詳細は「次世代タイムラプスインキュベーター」参照)
AIによる画像認識ですが、例えば最近のカメラに搭載されている「顔認識機能」がその一端です。この技術を受精時の「前核」に応用し検出させるのですが、これがなかなか難しいのです。
顔認識もそうですが、ピンボケするとうまく認識できません。また、特徴が似たようなものがあると誤認識、見えづらかったりすると認識できないことがあります。そのため、これをどうカバーしていくかがポイントとなります。
今回の発表では、主に「ピンボケ」への対策になります。
「前核」は大抵受精後に真ん中付近に引き寄せられてくるのですが、例外もあり、また撮影時のピント調節がしっかりできていないとピンボケを起こします。
今までは、胚の真ん中にピントを合わせたタイムラプス画像のみで前核認識を行っていましたが、上記のピンボケの影響もあり、精度が思うように向上していきませんでした。
しかし、当院のタイムラプスインキュベーターは写真を撮る際、ピントを11段階(マルチスライス)に分けて撮影し、胚を上から下まで細かく撮影しています。
また、胚培養士が前核を観察する際はピントを動かし、しっかり前核にピントが合ったところで判定をします。そこで、AIにも撮影している全ピントを利用して「前核自動検出」を行ってみたらどうか、という試みを発表してきました。
実はAIを用いた画像解析は、生殖医療分野ではHotな話題となりつつあります。
当院は最先端の技術を牽引しつつ、この技術を患者さんに安心して提供できるよう、日々考え発展していきます。
培養研究部 K
浅田レディース品川クリニック
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