みなさんこんにちは!コーディネーターです。

今回はコーディネーターのお仕事のひとつ「AIH(人工授精)」についてお話をします。


【人工授精とは?】
人工授精(以下AIH)とは、妊娠を目的に人工的に精子を女性の生殖器管内に注入する治療法です。
当院では以下の場合に人工授精を適用しています。

◆ 運動精子の数が少ない場合(乏精子症)や、比率が少ない場合(精子無力症
◆ 原因不明で長期間治療している場合や、精液検査を兼ねて治療する場合
◆ 排卵誘発治療中でタイミングを確実に合わせる場合
◆ 適切な性交ができない場合


乏精子症精子無力症などの男性不妊については、以前のブログに載せていますので、
男性不妊について(前編)・(後編)を是非チェックしてみてください


【何回ぐらいするものなの? 妊娠率は?】
AIHは1回の妊娠率は4~8%ほどと言われています。
出産する年齢を考慮して、35歳で人工授精5回、38歳で約3回、40歳以上では1~2回で妊娠に至らない場合は体外受精へのステップアップを推奨しています。


【AIH精液処理について】
AIH当日患者さまからお預かりした精液は、コーディネーターがAIHへ向けて準備処理を行っています。ここではその流れをご説明します。

まず、お預かりした精液容器や処理に使用する器具に記載されている名前が患者さまのもので間違いないかコーディネーター2人で声に出しながら指差し確認(ダブルチェック)を行います。
 
精液量・性状(粘稠性・ゼリー)を確認後、マクラー計算盤という器具を用いて顕微鏡で精子をカウントします。
精子のカウントについては、当院の培養研究部より分かりやすく説明しているブログ記事がありますので、こちらをご覧ください。

精液と洗浄液を混和後、遠心分離すると2層に分かれます。下の層が運動精子が多く含まれている層です。
 
この運動精子の層を使用して精子濃縮液を調整し、下の写真のAIH用フレスポイトで全量吸い準備完了です!!
 

私たちは、準備処理を進める中で2度のダブルチェックを行い、他の患者さまとの取り違いが起きないよう必ず患者さま1人ずつ準備を行うことを徹底しています!

採卵や移植でお話しする機会が多いコーディネーターですが、AIHにむけて精液の処理を行い、患者さまの元へ届ける役割も行っています。


参考文献
協和企画 実践 浅田式標準不妊治療学 2020年12月1日 発行