melancholy
傘を置いて雨の中に踏み込む。車のヘッドライトに照らしながら悲しげに振り舞う雨粒を見守る。そして思う。なんて美しい雨だ、と。深い憂鬱に身をうずめて、ぎこちない微笑みが唇を些かに歪めてしまう。ああ、幸せだ。言葉が噎んだ喉に詰まって、溜息だけが濡れた空気へと洩れてしまう。とても湿った溜息だった。
ひさしぶり
久々の更新。
でも、何を書けばいいか全く分からない。余りにも久し振りだからかな。しなければならないことがあって、それが済む迄何を書いたって無意味だって、言ったな。この間書いた記事を見て、正にその通りだったって思った。書くんじゃなかった、全く。
兎に角何となく全てがうまく行った。とはいえ、まだまだ満足できないからこれからも益々頑張って行きたいと思う。言う迄もないが、文章が下手糞だ。今学期それを勢い良くアタックするつもりだ。その傍らに授業のこともあるから大変だが、割と楽しいかも。いきなり木曜日に倫理学の講義で発表をすることになった。恥を晒すのを楽しみにしている。
日本語を勉強する理由、さっぱり分からなくなってしまった。勉強し始めたことを後悔している訳じゃないけど、この先どうするかなかなか決められなくて困っている。一応遣り掛けたことを最後迄遂げてしまおうと決意した。愉しいしこの儘努力し続ければなんとかなるとは思うけど、これだけじゃ何か足りていないって感じ・・・
全く逆なことを遣ってみないと、なりたい人にはなれないと思う。そういう感じかな。
なりたい人はどんな人だろう。大雑把で言うと、多分、他人を傷つけない人。寧ろ、周りの人の為になる人、相手を大切にして育む人。
極言すれば今迄の僕との正反対?みたいな?
羞恥
時には言葉を無駄に噴出すよりも黙る方が遥かに意義に充実していることがある。その考え方を踏まえて、先日本ブログの更新を暫時的に中断することにした。目標に達していない儘だと、此処に言葉を並べるのには何の意味も無いのだ。 生憎その目標を完遂したから再びパソコンに向かってキーボードを打っている訳ではない。従って、今宵も空虚な片言隻句に終わる筈である。但し、今回書き留めたい出来事は、若しかして万一いつか、それは僅かにでも、或る意味を持つ様になるかも知れない。
猪口邦子氏は、9月11日の総選挙で新人議員として任命された、所謂小泉チルドレンの一人。先日週刊文春に行われた9項目のアンケートで、「尊敬する政治家」として「小泉純一郎」を挙げたそうだ。当誌に載せられた写真には、猪口議員がモナリザを連想させる奇妙な微笑を浮かべている。 その写真を見たのは今日、10月2日だった。つまり、猪口議員に会った翌日である。
僕の大学で留学生は、日本語で行われている講義に参加する為に、直接に先生に訊いて賛成を貰わなければならない。猪口先生の研究室にやってきたのは、土曜日の昼頃だった。流石に週末のこと、静寂な12階の廊下には人の気配は疎らだったが、猪口先生の研究室の手前に着いたら開きっ放しのドアから突然3人の学生が溢れ出た。続いて僕がドアの前に立ち現れると、先生と目を合わせて話し出した。
「あの、猪口先生でしょうか。」
「はい。」
「お忙しいところ申し訳ないですが、少しお時間を頂ければ・・・」
「今授業に出るところなので・・・」
「ええと、実はその授業に関してですけれども」と、いつもより少しぎこちない対話が続いたのだ。先生の目は鋭く、僕を見つめると脅威的に光った。素早い身動きで山積していたファイルを片付けたりしながら、爆弾発言を些か自慢げに言い出した。
「議員になったのよ」と言われたのは確かに生まれて初めて。余りにも呆気にとられて、どうすれば良いか狼狽した挙句せかせかと失敬した。エレベーターに乗り、「ギイン」と云う言葉を何度も頭の中に響かせてみた。参加するのを断られる位なら覚悟はしていたが、議員になったので教えなくなったなんて言われて、夢にも思わなかった。
一階に着いて外に出たら、自分の事が唐突見窄らしく見えてきた。草臥れてきた服装と汚い髪の毛。疚しい姿を晒して議員の貴重な時間を無駄に消耗してしまった自分が恥ずかしかっただろう。確かに身分の高い人間と接触する機会が殆どない。とはいえ、身分が高いだからといって羞恥を覚えた訳ではない。例え杉村議員と一緒に料亭に行ったら日常の態度は崩れまいが、猪口議員の表情は瞼の裏に焼き付けられて消えない。
新幹線の中
旅の帰路の最中、次の更新を直筆で書くことにした。インタネットからプリントしておいた何数枚の使い込まれた地図を重ね、裏面に字を並べる。喫煙車の中は芳ばしくて閑静な雰囲気で、一方俺は人の視線を引っ掛ける程酷い日焼けをしていて、肩が凝っていて、この文を書く程の角度で前に屈ませる位で身体の節々が疼いてしまう。窓の外側で新横浜と云う街が横切って去る。
