なんちゃって作家の青息吐息
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いやぁ、今日は運がいいよ。この店、土曜日はいつも混んでるんだ。この時間じゃ、席が空いてるのなんて奇跡だぜ。手羽先が有名でさ、持ち帰りもできる。

あ、とりあえず生2つね!

 

しかし、驚きだね! まさかここでお前に声かけられるとは思わなかったよ。大手の出版社に勤めて都内で働いてるって聞いてたからさ。

俺はずっと県内だよ。家から駅まではチャリだけど、会社は駅から徒歩2~3分ってとこばっかりだな。

 

ああ、体験談だったな。

それにしても記者ってのも毎年毎年大変だな。夏は大人気だもんな、怖い話。まぁ、俺もたいした話はないけどな。霊感なんてほぼないし。ハハハ。

 

あー、手羽先2人前ね。あと枝豆と揚げだし豆腐。あとはまた追加すればいいか。

 

……そうだな、てっちゃんの話なんかどうだ?

ほら、小学生の時転校しちゃった子。え、知らん? ああ、お前が引っ越してきたのは中学生ん時か。

うん。てっちゃんって子はさ、俺と同級生だったんだけど生まれつき病弱で左足が悪かったんだ。そのせいか、ちょっと暗かったんだよな。俺らが小学生の頃なんて、まだゲーム機なんかもそんなに流行ってなかったから、遊びといえば外で走り回ることばっかりだったろ? だから仲間はずれってほどでもないんだけど、どうしても敬遠されがちだったんだよ。だってほとんど走れないから、野球とかサッカーなんて無理だったし。けど、かくれんぼのときだけはヒーローだったんだ。とにかく隠れるのがうまくてさ、絶対に見つからねぇの。何か秘密の場所があるとか言ってたかな。夕方の放送が流れたらお開き、って決めてたんだけど、てっちゃんがその前に見つかることはなかったなぁ。

 

まぁ、結論から言うとそうなんだけどさ。確か当時には珍しく、今の猛暑くらい暑かった日だな。いなくなっちゃった日。

そ、夏休み。

で、放送が流れても出てこないし、皆で30分くらい捜し回ったかなぁ? けどてっちゃんだろ? もう全然見つからなくて、皆諦めて家に帰ったんだよ。俺ともう一人が代表しててっちゃんちに言いに行ってさ。で、次の日から台風で大荒れになったもんだからしばらく誰とも遊べなくて、てっちゃんのことはそのまま忘れちゃってたんだよな。2学期始まって先生の話で転校したってことを知ったんだ。家もそんなに近所じゃなかったからな。

 

おっ、きたきた。

……うわー、やっぱりここの手羽先はうめぇな!

おう、帰りに土産頼もうぜ。たまにはカミサンと子供にも食わせてやらなきゃな。

 

いや、そのときは知らなかったよ? だって隣の市に引っ越したつっても、小学生の狭い世界じゃすぐに行ける距離じゃないだろ? 知ったのは高校に行ってからだよ。そそ、近いってだけで決めた隣町の高校な、ハハハ。その頃から横着だったんだよ。

で、学校の近くで偶然てっちゃんの母ちゃん見かけたから、ふと思い出して声かけたんさ。おばさん、俺のこと覚えてなかったんだけど、てっちゃんのこと聞いたら亡くなったって言われて。引っ越してからわりとすぐだったらしい。

うん、居眠り運転の車だってよ。

 

あ、うん、俺も生でいい。

 

……けどさ……高校の同級生にてっちゃんのこと知ってるヤツがいてさ、うん、地元だろ? てっちゃんちの近所に住んでるヤツがいるんだよ。そいつに言わせると、どうもてっちゃん、おかしかったらしいんだよね。突然奇声をあげたり、意味不明なこと言ったり。家の前を通ると、ギャーギャーわめく声が聞こえたこともあるらしい。

いや、全然。引っ越す前は普通だったよ。ちょっと暗いだけで。

で、散歩中の飼い犬に噛み付いて訴訟問題になったこともあるとか……。俺には考えられないんだけどね。

いや、それだけだけど……ダメ? 何かにとり憑かれてた…とか、ネタにならん? こんなんじゃダメかぁ~ハハハ。

あ、そういやさ、犬で思い出したんだけど、もういっこあったよ! あーでもダメかなぁ。

え、トイレ? おお、行ってこい、行ってこい。

 

 

……これって録音してるんだよな……。

じゃあ、あとで聞けよ。

もういっこってのはな、まぁたいしたことじゃないんだけど、最近うちの犬が病気で死んだんだ。どうもそれから俺の後をついてきてるらしいんだよな。チャリに乗ってると、後ろからカッカッカッていう音が聞こえるんだ。ほら、犬の爪がアスファルトに当たる音だよ。さみしいことに、振り向いても俺には何も見えないんだけどな。

まぁ、俺は自分ちの犬だから別に怖くはないんだけどさ、他人が聞いたら怖いかもしれないからな。

ふふふ……これはあとのお楽しみってことで。

 

 

 

 

お帰り。あー、切っていくつもりだったのか。いや、でももういっこの怖い情報入れといたからさ。あとで聞いてくれよ。そそ、お楽しみで。ハハハ。

それよりさ、ワタルの葬式、お前も行くだろ? この年になると増えるよなぁ。タツヤも心不全だったらしいし。

子供の頃のメンツがどんどん減ってくわ。俺達も健康には気をつけ……――。

 

 

 

 

 

 

 そこまで聞いて、俺はボイスレコーダーのスイッチを切った。

 

「なるほどな……そういうことだったのか……」

 

 俺がアイツに声をかけたのは、後ろについて走ってたものの正体を知りたかったからだ。もちろん、記事のネタが欲しいのは事実だが、取材と称してその話を引き出すつもりで誘った。

はぁーっと大きなため息をひとつ吐いて、俺はイスの背もたれに体をあずけた。

 

「次はアイツの番かもな」

 

タバコに火をつけながら窓の外を眺める。

 

「見えなくて正解だ。アイツの後ろを走ってたのは飼い犬じゃない……」

 

 一生懸命アイツに噛み付こうとして自転車の荷台にしがみつき、血走った目を見開いてガチガチと歯を鳴らす子供だった。

 

 

                                                        完

 俺の部屋に女が来るようになった。
 友達が経営するバーで知り合った女だ。

「いつもひとりなのね」

 そう言って、隣に座った。
 肌の色がぬけるように白く、肩で切りそろえた髪は黒い。少しぽっちゃりとした体つきが、あまり若くはないだろうと思わせた。
 のっぺりとした顔に、ギョロリと動く大きな眼。下向き加減の鼻は高いのか長いのか。
 美人ではないが、妙になまめかしい色気があった。その表情は、どことなくカマキリを思い起こさせる。

「あたしもひとりだから、ちょうどいいわ。話し相手になってくれない?」
「それくらいなら……」

 その日のうちに、なるようになった。

 女は三十二歳。半年前に離婚したばかりだと言った。子供は作らなかったらしい。

「あたしより二つ年下なのね。結婚はしないの?」
「考えたことないなぁ」

 それからちょくちょく俺のアパートに来ては、掃除だの洗濯だのをして泊まることが多くなった。
 女は植物が好きだった。少しずつ女の私物が増えていくのと同様に、何もなかったベランダには、鉢やプランターが並ぶようになった。

「これは? 変わった葉だね」
「それはハエ取り草。食虫植物よ」

 女はそう言うと、指でトゲに触れた。バクン、と勢いよく葉が閉じる。
 そういや、カマキリの別名はハエ取り虫って言ったっけ…。
 俺は女の横顔を見ながらそんな事を考えていた。
 ハエ取り草は、その名の通り昆虫を食べる植物だ。小虫が葉にとまると、開いていた葉がいきなり閉じてたちまち溶解液の出る牢獄と化す。
 植物に騙された昆虫は、何もかも吸い取られて植物の養分になる。騙す方が悪いのか、騙されるほうがバカなのか。
 俺は昆虫が少し哀れに思えた。

「お前、騙されてるぞ。本当は四十女だぜ」

 先日、友達はそう言った。

「デキたみたいなの。だから、きちんとしてね」

 今日、女はそう言った。
 どうやら俺も、捕まったらしい


                 終わり


ピロリロリン

『山椒魚さんが入室しました』

 

アキラ 「おー、ちはー!★⌒*ぉひさ(☆^v^☆人☆^v^☆)ぉひさ*⌒★」

山椒魚 「ちはーってww 今夜中の3時半ww」

アキラ 「最近ここも廃れてきちゃってさー、あんま人来ないのよウゥゥ((((((ノω・、))))))

山椒魚 「そうだなー、今も誰もいなかったみたいだし、そろそろみんな受験勉強に本腰入れ始     めてるんじゃねーの? つか、お前は?」

アキラ 「たまには息抜きも必要!(*´・ω・)b」

山椒魚 「そりゃそうだがww」

アキラ 「眠気覚ましに怖い話でもしてくれε(*´・∀・)з☆ウキウキワクワク☆・*ε(・∀・`*)з」

山椒魚 「いきなり言われてもなんもねーよww」

 

ピロリロリン

『も~やんさんが入室しました』

 

山椒魚 「おっ 怖い話できるヤツが来たじゃんww」

も~やん「(* ・`ω・*)ノやぁ」

アキラ 「★⌒*ぉひさ(☆^v^☆人☆^v^☆)ぉひさ*⌒★」

山椒魚 「アキラが眠気覚ましに怖い話聞きたいって言うんだけど、あの話してやれよww」

も~やん「どの話?」

山椒魚 「ほら、机に向かってると幽霊が後ろを通っていくやつww」

アキラ 「ナニソレ!? 体験談!?」

も~やん「あー、あれか。大体毎晩1回あるんだけどな。今さっきもあったよ」

アキラ 「見えんの!?(゜ロ゜ノ)ノ」

も~やん「いや、俺は見えない。気配だけわかるんだよ」

アキラ 「気のせいじゃなく?」

も~やん「俺の家ってさ、もう古いから畳がめこめこなんだよ。だから歩くと少しへこむのな」

アキラ 「うんうん」

も~やん「その上に机とイスを置いてるわけだが、イスがキャスターなしの十字型の足なん」

アキラ 「うんうん」

も~やん「で、誰か歩いて畳がへこむと、イスがちょっと後ろに引かれるのさ」

アキラ 「ヒイィィィ!!!!(゜ロ゜ノ)ノ」

も~やん「ふすまを隔てて母ちゃんと弟が寝てるの知ってるし、向こうの部屋からは親父のイビ     キが聞こえるし、後ろを振り返っても誰もいないから」

アキラ 「見えない人がいる、と……((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル)

も~やん「うん、気のせいではないだろうな。ただ見えないだけで」

山椒魚 「見えなくてよかったの悪かったのかww」

も~やん「見えなくていいと思うけど、ただ逆に想像力かき立てられるんだよな。ま、もう慣れ     たけどさ」

山椒魚 「慣れるんだww」

も~やん「だって歩いてるだけで特に悪さもしないし、俺には見えないし」

アキラ 「それで、その人はどこに向かってるん?」

も~やん「隣で寝てる母ちゃんの枕元で止まるらしい」

アキラ 「(◎皿◎)ナンデスト!!

山椒魚 「母ちゃん、それ知ってんのかw」

も~やん「うん、前に言ってた。寝てるところに誰かが歩いてきて、頭の上で止まるって」

山椒魚 「毎日のようにそれ体験してて、いまだその家に住んでられるってのがすげーわww」

も~やん「慣れだよ、慣れ。けどな、」

 

 

 

 

 

 

アキラ 「……? どした?ヽ(・д・!|||)

も~やん「ごめんごめん、スマホの充電が切れそうだったから繋いでた」

山椒魚 「焦らせるなよww」

アキラ 「で?けど、なんだって?」

も~やん「今日もだけどさ、帰っていく足音はしないんだよ」

アキラ 「ε=ε≡εΣヘ(lli´>Д<)(lli′□`)ノぅゎぁぁぁぁあ゙」

山椒魚 「大概、そう聞くよなw 枕元でジッと顔を覗き込んでるのか、すうっと消えてるのか     ……w」

アキラ 「こえぇよ!」

山椒魚 「お前が聞きたいって言ったんだろww」

アキラ 「だって、ジッと覗き込むとか言うから……(´;ω;`)ウッ…」

も~やん「落ち武者の霊が、ざんばらの髪で血まみれになって目をカッと見開いて見つめてたり     してな」

アキラ 「やーーーーーーーーーーーーーーーーーーめーーーーーーーーーーーーーー!!!」

も~やん「アキラ、おもれぇ(プププ」

山椒魚 「で、も~やんは、見えないけど気配だけわかるタイプなん?」

も~やん「気配と音かな。母ちゃんはたまに見えるし、匂いもわかるらしいけど、俺は全然」

山椒魚 「他にも体験談あんの?」

アキラ 「もういいよ~~~~。:(。ノω\。)゚・。 ウワァーン」

も~やん「ほとんど部屋を歩き回る音くらいかな? あとは、夜中に誰か風呂入ってるときあ      る」

アキラ 「家族だよ、それ!家族ってことにしとこうよ!(´;ω;`)

も~やん「だから全員寝てるのわかってるんだって(ぷ」

 

ピロリロリン

『ヤマさんが入室しました』

 

アキラ 「あっ ヤマだ!ヽ(´▽`)ノ」

ヤマ  「ばんわ~」

山椒魚 「お、久しぶりw」

も~やん「(* ・`ω・*)ノやぁ」

ヤマ  「こんな時間に3人もいるよ(笑)」

山椒魚 「アキラが息抜きも必要だってww」

も~やん「で、まぁ、リクに応えて怖い話をしてたんだが」

ヤマ  「も~やんの机がある部屋から明かりが見えたからさ、ログインしてみたら案の定だよ     (笑)」

アキラ 「あれ? ヤマっても~やんのリア友だっけ?」

ヤマ  「そそ。めっちゃ近所(笑)」

も~やん「お互いの部屋の窓から相手の部屋が見えるくらい」

アキラ 「ォォオオ(*′З゜`)ノオオォォー!!

ヤマ  「つうか、いくら机の明かりだけだって、カーテンくらい閉めろよな~」

アキラ 「丸見え?(≧ω≦。)プププ」

ヤマ  「いや、影くらいだけど、机に向かって俯いてんのわかるよ(笑)」

山椒魚 「PCだったら前向いてるんだろうけど、スマホだから俯いてんのかww」

も~やん「バレバレだ(;;」

ヤマ  「こんな草木も眠る丑三つ時に、何やってんだか俺ら(笑)」

アキラ 「だから息抜きd(*゚∀゚*)

山椒魚 「丑三つ時はもう過ぎただろw」

ヤマ  「ホントだ。およそ今の午前二時から二時半だって ←調べた」

アキラ   「じゃ、もう大丈夫だ!ヽ(´∀`*)ノワーィヽ(*´∀`)ノワーィ」

も~やん 「え、俺んちに出るの、決まって3時から3時半くらいなんだけど」

山椒魚  「そういや、さっき出たって言ってたっけw」

も~やん 「うん、だからもう出ない」

山椒魚  「霊の毎日の日課ww」

も~やん「はずなんだけど」

アキラ 「(*「・ω・」ん?)

 

 

 

ヤマ 「も~やん、どした??」

山椒魚「また出たのかなww」

アキラ「マジデェェェェェエ工工!!(・ω・´;)lili

 

 

も~やん「あのさ」

山椒魚 「おお、無事かw」

も~やん「さっき親父のイビキが止まったんな」

ヤマ  「うわっ親父さん起きたのか?? まだ起きてんのかって怒られるかも(笑)」

も~やん「何かよくわかんない声が聞こえて……嗅いだことのない香水みたいな匂いする」

山椒魚 「え、お前、匂いはわかんないんだろ?」

も~やん「またイスが後ろに引かれたんだけど俺どうしたらいい??(;;」

 

 

 

ヤマ  「 すぐ 逃 げ ろ !!!」

 




                             完