昭和の空気
タバコをやめて、もう10年近くになります。
やめる直前は、タバコの吸える喫茶店の数が少なくなって、喫煙可能なお店を探すのに一苦労した覚えがありますが、今回、東京で訪れた喫茶店では(趣のあるお店を選んだせいもあるのでしょうが)、当たり前のように灰皿が設置されていました。
繁華街では、「タバコ吸えまーす」と、居酒屋の店員さんが方々で叫んでいました。
(こんな、不健康を凝縮したようなギラギラした通りで、受動喫煙の害なんか気にしたって・・・と、私なんか思ってしまうんですが)
昨今の「多様性疲れ」「正論疲れ」から、デタラメだった昭和への揺り戻しが起こってるんじゃないかと、感じてしまいました。
LUUP
で、LUUP。
※覚書もかねてなので、長いです。
大都市を中心に、電動キックボードのシェアリングを行っている大手です。
「ポート」と呼ばれる駐車場が、都内いたるところにあり、スマホのアプリを使って借りて、別のポートで乗り捨てることが出来ます。
コンビニ、マンション、ショップなど、いたるところの隙間にある「ポート」。
ポートの数は増殖を続けていて、現在は・・・気持ち悪い↓
都内を歩いていると、いたるところでLUUPの車体を目にします。
現在、全国では5800か所のポートがあるそうです。
なんとなくですが・・・
電動キックボードシェアリングの話題って、メディアでは次世代交通インフラとして好意的に紹介されるんですが、一般の感覚では「危険なうえ、邪魔でしかない」という意見が多いような気がします。
私も、電動キックボードには批判的な立場だったんですが、今回はなるべく先入観を捨てて、実際に使って、感想を持ってみることにしました。
借り方
事前に登録した、スマートフォンのアカウントを使い、車体のQRコードを読み込むことで借りることが出来ます。
今回は頑張って借りましたが、こういう作業にアレルギーがあると、アカウントを作る以前に乗る気が失せます。
が、一度借り方を覚えると、「こんなんで良いの?」というくらい、いとも簡単に借りることが出来ます。
借りる際に、返却ポートを予約するのですが、借りた場所に戻す場合は間違いなくポートが確保できるものの、乗り捨ての場合はポートに空きがないと、狙った場所で乗り捨てることが出来ません。
私も、行くときに借りようとしたら、目的地付近の返却ポートが全て埋まっていたので、使うことが出来ませんでした。
平日は利用率が少ないと思うので、車体の確保はしやすいですが、逆にポートが埋まっている為、乗り捨てはしづらいんじゃないかと思います。
乗った感じ
車体に乗った感じは、思いのほか安定していて、バランスを崩して倒れるような感じはありませんでした。
坂道もパワフルに登るので、歩くよりははるかに楽に移動することが出来ます。
料金は30分で200円。
昔、東京に住んでいた頃、駅から自宅まで15分くらい歩いたのですが、仕事で疲れてクタクタの時は、タクシーを使って帰る事もありました。
その頃、「電動キックボードレンタル」があれば、間違いなく使っていたと思います。
危険度
「自分なら乗れる」と思う方なら、電動キックボードの運転は難しくないと思います。
ただ、5問ほどの交通ルールクイズに答えるだけで、「免許」がいらないため、交通法規はもとより、運転感覚ゼロで土地勘のない人でも、難易度の高い東京の車道を走ることが出来ます。
観光客やとっさの利用時に、ヘルメットをもって歩いているとは考えられないので、「ヘルメット着用を強く推奨」は詭弁で、基本「ノーヘル」での利用が想定されています。
「最高時速20キロ」に対して「遅い」という意見もありますが、自転車乗りの感覚からしたら、20キロ巡行、結構な速さです。
細い道で正面から車が来たり、通行人を追い越したり、路駐の車をかわしたり、結構テクニカルな場面がありました。
「リスクは自転車と同じ」と語られることもあるようですが、自力でこいでハンドル操作をするのと、脱力してよそ見をしていても勝手に20キロで走る乗り物とでは、運転手の緊張感が全く違います。
単純な疑問
・駐車してある車体は盗まれないんだろうか?
・雨ざらしで、車体の耐久年数はどれくらいなんだろうか?メンテナンスは追いつくんだろうか?
・電動キックボードの違反(飲酒や二人乗り)は5年以下の懲役または100万円以下の罰金(!)となっているが、実際どれくらいのリスクを負って乗らなければいけないのか?
まとめ
「ヘルメット着用努力義務化」や、「自転車交通違反の厳罰化」が悪いとは言いませんが、都会の交通量とマナーの低下に比べたら、我々のような地方に住んで、普通に自転車を使っている者からすれば、東京に付き合わされてる感が否めませんよね。
それでも真面目に、ルールやマナーを守って乗ろうと努力しているところに、免許も、運転経験も、交通ルールの知識も、ヘルメットすら必要なく、違反や事故の際に莫大な責任を負う覚悟さえ持てば、誰でも気軽に乗れますよ・・・・と法改正された、「電動キックボード」。
20キロしか出ない、おもちゃみたいな乗り物に、ヘルメットだとか交通法規だとか適当でいいし、走りづらいと思ったら別の道を走ればいいし、ぶつかってケガさせたら責任取るのは当たり前だし、そうならないようにみんな気を付けて乗ったらいい事だし。
盗難?イタズラ?そんなこと考えてたらキリないだろ。
「真面目すぎるんだよ、お前は」と、昭和の親父が酔っ払って許可を出したとしか思えない適当さ。
こんなところでも、昭和への揺り戻しが起こっているんでしょうか・・・
他もそのノリでいいなら、世代の私としては大歓迎ですが、そうじゃないところに、大きな不公平感があります。
5年間運用されたフランスでは、昨年、住民投票で9割の反対票が集まり、電動キックボードのレンタルが廃止されました。
個人の使用はこれまで通りとの事なので、ルールを守って常用するのはいいけど、いい加減に使うのは危険すぎるという判断だと思います。
糸魚川でも「電動キックボードレンタル」の話題が出ることがあり、私も無関係ではありません。
16歳以上ならだれでも乗れるという今の状況は問題が多いと思いますが、思いのほか乗りやすく、移動に便利な乗り物だと思う事はホントなので、走行しやすいルートを決めて、その間だけの移動に利用したり、免許の提示やヘルメットの着用義務など、法律と関係ないローカルルールを徹底すれば、利用できる場面は出てくるような気がします。
正しい結論が出たわけではないですが、今回はとてもいい経験が出来ました。
今後の動向にも注視していこうと思います。