コンセプトのつくりかた 「つくる」を考える方法 | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

コンセプトのつくりかた/玉樹 真一郎
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コンセプトというのはアイデアを具体化する上で重要な要素になってきますが、なかなかそれを考える機会というのはありません。

「何をどのように」という方法論や手段ばかりに気を取られて、そもそもそれを通して何を実現したいのかという信念が無かったりもします。

これでは、すばらしい物ができたとして、その用法が正しく人に伝えられたとしても、その人の心にはなかなか響かないでしょう。


私がこの本を本屋で見つけて買うきっかけになったのは、自分自身がWebサイトの運営において、何かよいアイデアというものが無いかという漠然とした悩みを持っていたからで、そもそもアイデアとコンセプトというのは異なるものですが、コンセプトという言葉を見たときにもっと根本の部分から考えないといけないことがあるのではないかと感じたからです。

この本で紹介されているのはコンセプトの見つけ方や作り方で、著者が任天堂に勤めていたという経歴があるため、新しいゲーム機を作るという命題の中でWiiというハードを作るためのコンセプトの作り方を方法論を交えて詳解しています。

当然、ここで書いてあるようにとんとん拍子で見つけていったわけではなく、かなりの試行錯誤があったのだと思いますが、そこに迫っていく過程は1つのストーリーとなっていてかなり読みやすくスッと頭に入ってくる本でした。


まぁ、この本を読んだからすぐにコンセプトというものが何なのかを理解することは難しいですし、そもそもコンセプトは自分自身の仕事や生活の中に千差万別で隠れているものでしょうから、その時々で考えていかないといけないことではあります。

コンセプトは大義名分でもありますから、その言葉によってそれを実現する仲間や組織を突き動かす原動力とならなくてもいけません。

1人で作ることや実現できることには限界がありますし、その製作に深く携わっている近い仲間であれば作ろうとしているものにあるコンセプトは理解できているものの、上司や外部の協力者、そしてそれを受け取る利用者の人にもすぐに理解できる概念が必要です。


自分がWebサイトのアイデアを考えるという、何かよい機能やサービスがあればよいという偏重した考えから、そもそもその機能やサービスというのは何を実現したいのか、そしてそれができたことで使う人に対してどういう幸せをもたらすのかという点を考えるきっかけになったのはよかったと思います。

そして、コンセプトを作ることで仲間がそれを理解し、ともに共有することで大きなエネルギーを生み出すきっかけになることは、アイデアが無いと悩んでた自分にとっては、それを実現する方法は自分の頭の中にだけあるものじゃないんだよ、という新たな気づきと励ましを与えてくれるものでした。



目次


第1部 おりていく コンセプトとは何か
01 霧の中から コンセプトとものづくり
02 勇者の登場 コンセプトのコンセプト
03 冒険の仲間 ものづくりのステップ
04 旗を掲げる コンセプトのかたち
05 悪魔のささやき 「良い」ということ
06 翼を授かる ビジョン
07 始まりの約束 アイテム
08 何を以て何を成すか コンセプト

第2部 のぼっていく コンセプトをつくる具体的なプロセス
09 産声は泣き声 悪口から「すきになる」
10 いたずら者の知恵 ズラして「かわる」
11 星座を見つける まとめて「わかる」
12 語り継がれるもの 「できる」ための物語化
13 影との戦い コンセプトの完成

第3部 すすんでいく コンセプトをどう活用するか
14 願いを込めて コンセプトから仕様へ
15 そして勇者は コンセプトの宿命