イノベーションが当たり前の時代のエンジニアの向かう先 | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

[IT] Web 3.0へようこそ。データセンターが君のコンピュータだ @ TechCrunch Japanese


Web3.0という言葉は、まぁ置いておいてそのWeb2.0の次の時代がここで書かれている


Web 3.0: 誰もがイノベーションを実行できる

というのは肌で感じている人も多いのではないでしょうか。


以前に書いた「新たなプラットフォームと新たなエンジニアの誕生 」という記事の中で


以前にPodcastで聞いた「ウェブを変える10の破壊的トレンド」の中で(※)、著者の渡辺 弘美氏がBlogパーツなどを組み合わせて自由に環境を作り出す人も、これからは広義の意味でプログラマと呼ばれるようになる、と仰っていたの聞いてあぁなるほどという思いが強くなりました。

「ウェブを変える10の破壊的トレンド」を「聴いた」


という内容を紹介しましたが、まさしくそれが当てはまるかのように、一昔と比べるとそんなに知識が豊富でない人でも、オリジナルのサービスをスタートアップさせる事は簡単にできる時代になっています。

ネットの黎明期(Web1.0時代)であれば、それは限られた人にしか与えられていない特権でした。

例えHTMLしか知らないという人でも強者で、そこで表現されるサービスが羨ましく思われていた時代だったわけですが、今では(知っている方がもちろん強いのですが)さほど重宝はされません。

それに取って代わるものがあふれているからです。

ブログを書くこととHTMLをコーディングする事がイコールになっている時代です。


で、Web3.0の行き着く先にある問題が、中途半端な知識しか持ち合わせていないエンジニアの居場所です。

SaaSが当たり前になれば、中途半端なプログラムを書くエンジニアは要らなくなる、PaaSが当たり前になればそれに加えて中途半端にサーバー管理するエンジニアも要らなくなる。

凄腕のエンジニアはもちろんそれらのサービス基盤を作る企業に引っ張りだこです。


そして、イノベーションを起こすのは、エンジニアだけに限らなくなります。

経理のおばちゃんでもイノベーションを起こしえる基盤ができようとしているのです。

逆に中途半端な知識を持ち合わせていない分、中途半端な知識が邪魔するエンジニアよりイノベーションを起こしうる能力を持っているかもしれません。

数年間エンジニア業を続けていて、手段は持っているのに何も始められなかった人と、手段を持ち合わせていないが故にはじめられなかった人では後者の方が秘めている能力は高いといえるかもしれません。


明日からそうなるわけではないでしょうが、そういう方向にITの世界は収束しようとしていると強く感じます。

完全に裏方に徹してイノベーションを起こす基盤を作る優秀な真のプログラマか、それらの上でイノベーションを起こす広義のプログラマか。

極端に言えば、その双方どちらかにエンジニアは向かわなくてはならなくなる。


ウェブの世界で生き抜いていくためには、強固なサービス基盤を作る事が重要です。

日本の中で言うと、ポータルの基盤を作ったYahooとか、SNSの基盤を作ったmixiとか、ネット通信販売の基盤を作った楽天とか、ネット広告の基盤を作ったGoogleとか。

ネット黎明期であれば、その基盤というものを発掘する余地はふんだんにありましたが、時代が進むにつれてその広大な土地は耕しつくされ、やがて中途半端なものを作っても淘汰されるという今の時代になっています。


言い方が悪いですが、中途半端なスキルでもアイデアがあれば光を見つけることができていたわけです。

それが今は、「こんなのどう?」と言ったところで、それは「あそこがやってる」とか「あれとあのサービスを組み合わせるとできる」とかという時代になっています。


これはもちろん極端な例ですし、その間をうまく食いつないでいく余地はあります。

しかし、そこに好きを貫くモチベーションたるものが存在するかどうかは疑問です。

巨大なサービスが作り出す日陰の仕事をこなす事が、それほど楽しいものとは思えません。

なんせ、自社が提供するパッケージを顧客向けにカスタマイズするそれと変わりません。

エンジニアとしての立場は狭くなるのに、モチベーションは今と同じではやりきれません。


それに飲み込まれたくなくば、エンジニアとしての個を磨く必要が出てきます。

そしてはっきりとエンジニアとしての目指す先を見据える事だと思います。

まだ、Web2.0時代の終焉が来たわけではありません。

いわば今の時代は道半ばに悩むエンジニアにとっては最大にして最後の岐路に立っている時期なのかもしれません。

それを幸と捉えるか不幸と捉えるかは自分次第だと思います。