この本がよかったと思えるのは、この本が著者である梅田望夫氏の原動力となった、IT業界を先駆する人々のありがたいお言葉を、氏自身のフィルタを通して私に届けてくれたことにあります。
ですから、この本の中心になっているのは、そのIT業界の先の先を走る人たちが発した言葉であり、それに著者の意見がそれを要約する形で書かれています。
私は、Googleのエンジンを作った2人(ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリン)とCEO(エリック・シュミット)の名前は知っています。
Amazonを立ち上げた人(ジェフ・ペゾス)も、スティーブ・ジョブスという人の名も。
でも、それらの人が成し遂げたことを知っていても、その人たちが何を考え、何を目指し、数々の成功を収めてきたのかまでは知りません。
何も運だけでそうなったのではないことは確かです。
その原動力となっている考えをあらわした言葉に触れてみるだけでも、なるほどと思わせられるものが確かにそこにあります。
言葉は時として人々に感動と奮い立たせる勇気を与えてくれるものです。
しかし、そんな言葉に人生で何回であえるでしょうか。
しかも面と向かって誰かから言われることなどそうあることではありません。
だから僕はやる気がでない、といって立ち止まっていてはいけません。
周りを見れば、誰かがその勇気を与えてくれる言葉を発してくれているのです。
自分に向けて言われていないから、受け取らないという考えは贅沢なことです。
もし、自分が何かを求めているなら、その解を発しているその言葉を自分から捜さなくてはなりません。
著者には根底にそんな考えがあって、ひたすらビジョナリーが放つ言葉の一つ一つにアンテナをはり、またそれを追い求める姿勢をやめず、言葉の裏にある心理を探そうとしているのがうかがえます。
ですが、それらの人々の発した言葉を拾い集める労力は多大なものがいるものです。
その長い時間と多大な労力を要して拾い集めたそんな言葉たちをまとめてくれているというだけで、この本は十分に価値のあるものではないでしょうか。
極端な言い方をすれば、そのビジョナリーが放った言葉だけを読んでみるだけでも、価値のあるものになると思います。
その根底にあるものが何なのか自分自身の解釈ができれば、自分を突き動かす勇気がそこからまた生まれるかもしれません。