まず、記事の内容から。
記事内にある「若手エンジニアがやりがいを失っている理由」として、「プロジェクト・マネージャ(PM)や上司が部下の能力向上に熱心でない」という点は、確かにあるかもしれません。
その理由として挙げられている忙しいと言うものの他にも、コスト削減意味合いから、若手の起用から外注に委任するケースも多々あり、マネジメントなどエンジニア本来が持つ創造の楽しさなどに触れる機会が減っている事もその一つだと思います。
コストの削減とは、単純に単価が安いという意味だけ無く、自社の若手を起用する場合に、その業務をこなすまでに十分な研修期間などを設ける必要があるため、そのスキルセットを持ち合わせている人を外から起用するといった方がトータル面で安上がりだと感じている人もく、自社の若手に回される仕事はそれらの人の管理などが中心になってきたりします。
仕様書、設計書を作り、外注の人にそれを説明する、その後はタスクごとのスケジュールを管理し、上がってきた納品物の品質をチェックする。
エンジニアとして、辛くもあり楽しくもある創造する仕事が与えられず、ある程度マニュアルどおりにやればこなせる管理業務を押し付けられ、その業務の意義を知る由も無く過ぎていく。
一方で管理職は、そういったマネジメントする業務自体がその人を大きく育てる事になると信じている。
もう一つ、情報システム部の人がやりがいを感じないという理由には、「メールシステム運用者の苦悩 」に書いたように定型化してしまった業務に面白さを感じなくなってしまうからではないでしょうか。
情報システム部門の仕事は、納期こそきつく縛られないものの源泉から沸いてくる水のようにひっきりなしに出てきます。
社内システムは、もちろんのその企業内で起こっている業務上の課題を解決するために存在しますが、社内システム自体のライフサイクルは、その他のシステムに比べて非常に長いものです。
一度構築したシステムの保守・運用は永続的に続き、社内システムが完全になくなることは無く、そしてまた社内システム構築の種となる業務上の課題が消える事もありえません。
やっとの思いで作ったシステムが1年後、業務ルールの改変により改修の対象にあがってくるなんて事はよくあることです。
プログラミングと言う業務は続けられるものの、対象となるシステムはずっと変わらないなんてこともありますので自分の力量を測る術がなかったりもします。
こういったことから、システムへの愛着 が生まれ、そしてその人の技術者自身が後々苦労するはめになる のかもしれません。
では、シゴキの復活が本当に情報システム部を救うのか?
私の体験を語れば、私は入社当時先輩の社員が存在しませんでした。
いるのは責任を取ってくれる上司だけ。
私たち新入社員は全員が一丸になって業務に取り組むしか方法がなかったわけです。
分からない事を聞く相手もいいない。
聞くのは、本かインターネットに対してのみ。
上司も技術者であったため、多少の事は教えてくれましたけど、基本的には放置プレーでした。
が、返ってこれが私たちの場合はいい結果を生みました。
教えなくとも学ぶ事はできます。
私が嬉しく思ったのは、教えてくれる喜びより、任せてくれる信頼感です。
私たちがミスをすればその上司が全て責任を取る羽目になります。
危険な行動には口を出しましたが、大きな方向性を整えてくれるだけで後は私たちに任せてくれた事で、その期待に答えなければならないと言う使命感を感じることができました。
ここまで恵まれた環境を作り出す事はなかなか難しいと思いますが、私がその体験の中で感じたことは、若手には使命を与えてあげる事、そして上司はそれに対しての責任だけを取る事ということです。
上司は、その業務のリスクが低いのであれば、口うるさく言うことなく若手に全委任をしてみるのも良いかもしれません。
失敗をした場合、おとなしくその責任を取ってみる。
その行動自体にも若手は何かを学んでくれるものと思います。
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