心にしみる四字熟語 | A Day In The Boy's Life

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心にしみる四字熟語 (光文社新書)


私は国語が苦手だった。

嫌いといっても良いかも知れない。

学生時代の通信簿の国語の欄には何時も「3」がついていた。


そもそも人が書いたり発したりするその言葉や文字の裏側にある心情と言うのは、その人でしか分かりえないものと思い込んでいたので、どうも国語のテストにある「ここで描かれている主人公の気持ちを表すものを次の選択肢から選びなさい」という問いには、「そんなのその人にしかわからないよ」と捻くれて考えていたもんです。


高校時代に理系を選択したように、定義あるものには魅力を感じていましたが、行間を読むという曖昧さがある学問はどうにも苦手。

それは幼い頃からあまり活字に触れてきていなかったせいかも知れません。


そんな活字によく触れるようになったのもここ最近の事。

それまでは専門書や漫画ぐらいしか触れる機会をもちませんでしたが、Blogを書いたり読んだりするうちに自分で書きたい思いを表現するには、言葉を知らなければならないと思いましたし、Blogを読んでいて他の人の持っている才能に触れることの面白さを感じたから本と言うものにも触れたいと思う気持ちが出てきました。


そんな文字との接点が極端に少なかった私が、四字熟語の本を読んでみる。

数年前の私からは考えられなかった事ですが、その原因となったのがこの本の最後の最後に出てくる著者のこんな想いが描かれていたからです。


心にしみる四字熟語


とはいえ、そんな勝手な読み方を可能にしてくれるのが、名作の名作たるゆえんではないだろうか。
読者それぞれの思い入れを受け止めながら、永遠に読み継がれていく。
それだけのふところの深さを持っている小説こそが、名作と呼ばれるにふさわしい。

私の「そんなのその人にしかわからないよ」という考え方を肯定してくれたこの言葉によって私は、この本を読んでみようと決めたのです。

国語の授業では、先生が「このときの主人公の気持ちはこうである」と文字と文字をつなげながら黒板に書いていき、私はそれがそうなんだと決め付けたようにノートをとり、国語のテストに備えていました。

この著者は、私とは比べ物にならないほど活字に触れ、それを生業としている方ですが、そんな人が人それぞれの受け止め方で小説を読んでも良いと言った事に新鮮さを覚えました。


ここで本題に入ると、心にしみる四字熟語 は日常あふれている四字熟語の意味を、名作と呼ばれる小説の中にでてくるそれとあわせ、その著者が描く四字熟語の裏の意味を紐解く本です。
その核心は、本書のP.18に描かれています。


心にしみる四字熟語


ぼくは、四字熟語というものは、「語」としてではなく、「表現」として考えた方がわかりやすのではないか、と思っている。
(中略)
一方、ぼくが「表現」ということばで言い表したいのは、ある場面、ある文脈で発せられた生のままのことばの連なりのことであって、その文脈に即して考えないと理解しきれない内容を含んでいるものだ。

ここで取り上げられている四字熟語は「連戦連勝」「自由自在」「自業自得」など小学校で習うものから「因循姑息」や「密雲不雨」など聞きなれないものまである。

そして、それらの四字熟語が用いられている江戸川乱歩や夏目漱石、川端康成などの小説の一説を取り上げその裏にある「表現」から四字熟語の意味を探っていくというのが本書の目的となっています。


恥ずかしながら、それらの名作の数々を私はまともに読んだ事がなく、国語の教科書に載っていたのがわずかに記憶しているぐらいですが、そんな私にでもその作品の背景を含めて解説してくれていますので分かりやすくそして「表現」を読み解く面白さと、四字熟語をベースとした文字の意味の深さを考えさせてくれる一冊となっています。

何かを言葉にすることは簡単ですが、日本には様々な表現方法があり、それに適合する言葉というのもやはりあるものなのだと感心させられました。

そして、そんな自分の表現にぴったりマッチする言葉を使いたいと思う気持ちにもさせられた本でした。