このお客様では、代表電話として3本外線を確保しています。
その他に、ダイヤルイン(直通電話)として5本外線番号を用意しました。
1.代表番号に外線着信→2つの電話機が鳴る。
・鳴っている電話機は、受話器を取ればすぐに会話可能。
・他の電話機は、ピックアップボタンを押すことで電話をとることができる。
2.代表電話をとった人が、別の電話へ転送する。
・外線を保留にする→相手には保留音が流れる。
・内線番号で相手を呼び出し、確認後受話器を置く→呼び出し先へ外線がつながる。
・外線番号で相手を呼び出し… 以下同じ(外線は固定電話、携帯電話どちらも可)。
・短縮番号を押し、相手を呼び出し… 以下同じ。
→短縮番号は、電話機個別に設定でき、内線・外線・携帯と何でも登録可。
3.ダイヤルインで外線が着信(直接担当者の電話がなる)
・担当者が電話をとる。後の操作は代表電話と同じ。
・担当者が不在→10秒間だれも取らないと自動的に代表電話へ転送
→相手には呼び出し音が鳴り続けており、転送されたことは解らない。
・担当者が不在→近くの人がピックアップボタンで電話をとる。

保留音は複数登録されており、ランダムに再生されます。また、MP3の音源があれば、なんでも保留音に登録できます。
すべての電話機は個別に発信番号を決めることができます。
この決めた発信番号は、外線発信した時に相手に通知される番号となります。
IP電話機はWeb機能を持っているので、ブラウザーで設定画面を呼び出し、呼び出し音の設定や短縮ダイヤルの設定等をWeb画面で設定可能です。
もちろん、管理者モードとクライアントモードの使い分けやログインの制限も可能です。
今回IP PBXとして使っているAsteriskというソフトウェアは、非常に高機能です。
ボイスメール機能はもちろん、プッシュされたボタンで音声の応答を行う簡単なIVR(Interactive Voice Responce)も可能です。 またオープンソースのメリットを生かして、CRM(Customer Relationship Management)との連携も是非トライしてみたいです。
次にIP電話ならではの話を書いてみます。
IPという名前がつくぐらいなので、とにかくIP PBXと通信さえ出来れば、電話機の物理的な設置場所は問いません。
・自宅に固定IP電話を置きインターネット経由で会社のIP PBXへ接続。
・PCにソフトフォンをインストールし、無線LANやWiMAX等を使ってネット経由でIP PBXへ接続。
・スマートフォンにソフトフォンをインストールし… 以下同じ。
このような接続をすると、まるで社内と同じように社外から電話を使う事ができます。
お客様は会社に電話をしていると思っていても、担当者は実は全く別な場所(国外でも可)にいるのですが、普通にお話をすることができ、しかも通話料はインターネットへの接続料金だけです。
→お客様は会社までの電話代しかかかりません。
もちろん、インターネットとの接続回線の速度と安定性は必要ですが、一人が話すだけならADSL程度の品質で十分ですので、最近高速になってきたモバイル環境でのインターネット接続で実用上問題になることはありません。
また、会社で使った時の大きなメリットは配置換えや席替え時に発揮されます。
電話専用の配線はありませんから、席替えの時はパソコンと電話機を一緒に移動すればそれ以外の作業(電話用の配線変更や内線番号の変更等)は必要ありません。もし、グループ着信とかの設定が変更になるのであれば、Asteriskの設定を変更するだけで、外部の業者さんに来てもらう必要もありません。
※アプライアンス型のIP-PBXであれば、Web画面からの設定変更で簡単に行えます。
最後に一般の携帯電話を使いちょっと変わった運用を書いてみます(私も使っています)。
最近の携帯電話であれば、よっぽど古いか特殊な機種で無い限りインターネットへの接続機能(ブラウズ機能)を持っている筈です。
このWebアクセス機能を使うと以下のような運用が可能となります。
1.ある決められたIP PBXと連動しているWebサイトへ、携帯電話でアクセスします(認証については説明を割愛)。
2.登録されている電話番号を検索して呼び出すか、相手の番号を入力する。
3.発信を指示すると、すぐにその携帯がIP PBXより呼び出される(コールバック=呼び出し音が鳴る)。
4.この電話をとると、同時にIP PBXが指定された相手を呼ぶ(自携帯には呼び出し音が聞こえる)。
5.相手が電話に出たら、会話を開始する(相手には、IP PBXの番号=会社の電話番号が通知されている)。
この方式のメリットは…
・自携帯から発信しないため、個人の電話を使っていても料金が個人に請求されない。
・会社のIP PBXは、IP電話網から携帯電話を呼び出すため通話料が割安。
・相手先にはIP PBXの番号が通知されるため、個人の携帯番号が相手に見えない。
・通話履歴がすべてIP PBXにて記録される。
・携帯側で特定番号との通話を定額にするようなサービスがあれば、より通話料を削減できる。
・スマートフォンのような特殊な携帯電話でなくても利用できる。
この携帯セントレックスというべき運用は、仕事と個人の電話を分けて使いたい人には非常に使いやすいシステムです。もちろん、会社でも仕事用に別に携帯を用意する必要もありません。
さて、今回の記事もちょっと長くなってきたので、ここまでとします。
次回は一般のビジネスフォンとの違い(電話文化の違い!?)を書いてみます。