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声明文「際限がない米軍ヘリ事故と『日米地位協定』の屈辱」

12月13日に発生した、沖縄・普天間第二小学校での米軍ヘリ部品落下事故、ならびに頻発する米軍機事故に対して、12月14日、一水会、主権回復を目指す会、対米自立実行委員会は共同で声明を発表しました。

声明文「際限がない米軍ヘリ事故と『日米地位協定』の屈辱」
平成29年12月14日
一  水  会  
主権回復を目指す会
対米自立実行委員会

【聞く耳を持たない米軍と日本政府の無策】
よくぞ死者が出なかったものである。際限なく繰り返される米軍のヘリコプター事故が、今度は授業中の普天間第二小学校のグラウンドで起きた(12月13日)。米軍のCH53Eから、重さ8キロの窓枠が児童60人の真上に、惨事に至らなかったのが奇跡としか思われない。事故機の代名詞とも言われるCH53だが、7日にも付近の保育園に機体部品を落下している。

さらに10月11日には、沖縄県東村高江の私有地に同機が不時着し、大破・炎上した。この時、米軍は直ちに付近一帯に規制線をはり、同時に日本警察がこの規制線を警戒した。つまり日本の警察は米軍の指示の下で、米軍関係者並びに米軍車両以外の立ち入りを禁止する警戒業務に就いたのである。「日米地位協定」で軍事支配されている日本では、その警察が米軍の支配下におかれている現実を間近に目にした。最大の在日特権と民族差別こそ「日米地位協定」ではないか。日本に対して、これ以上のヘイトは無い。

この時も小野寺五典防衛大臣は、「事故原因と安全が確保されるまで(飛行の)停止することが必要だ」と申し入れたが、米軍は聞く耳など持たない。事故後、18日には原因究明や安全に言及することも無いままに、同機は沖縄上空を無制限に飛び回っていた。そして今回の事故、日本政府の無策をさらけ出した。

【屈辱だ!飛行禁止ではなく「自粛の要請」】
日本政府はその度ごとに米軍へ再発防止を申し入れているが、それに対する答えは「整備の手順や運用に問題がなかった」とのオウム返しだ。小野寺防衛大臣は13日、「沖縄県内にあるCH53Eの飛行の自粛を要請した」と記者団に語った。

飛行の禁止ではなく「自粛」であり、しかも「要請」である。米国の従属国家として、面目躍如たる日本国家の現実なのであるが余りにも屈辱だ。

日本の国土交通省の外局の一つに運輸安全委員会がある。航空事故・鉄道事故・船舶事故または重大インシデントの原因究明調査を行うとともに、調査結果に基づいて国土交通大臣または原因関係者に対し必要な施策・措置の実施を求め、事故の防止及び被害の軽減を図ることを目的とする。世界各国にも同様な組織があり、日本では独立行政法人として、外部からの影響を排除した独立性を確保している。

今度の場合でも、国民の生命・財産・安全を守るため、直ちに運輸安全委員会の航空事故調査官は事故現場の普天間第二小学校に赴き、同大型ヘリの部品落下の原因究明・調査を行い、安全に必要な「施策・措置の実施」が確保されなければ、米軍に同機の飛行禁止を勧告する。国家として対処する当然の措置である。

【朝日新聞も憤る主権の喪失】
しかし、報道に見られるように、危険極まりないこのヘリを運用する米軍へ、飛行禁止ではなく「自粛」とか「要請」しか出来ない。何という屈辱だろうか。日本国内で発生した事故でありながら、我が国は手も足も出せないのである。誰もが否定できない主権喪失とはこのことである。

驚くべき事だが、普天間基地に隣接する同校では、「米軍機が墜落して有毒ガスが発生した」との想定で避難訓練を行っているという。米国国内ではあり得ないことが、沖縄では児童の安全確保のため行われている。

米軍が自国の米国において、沖縄と同様な危険な空域(学校や住宅密集地)に航空機を飛行させたりする事はあるまい。第一、米国市民らがこんな軍の危険行為を許すわけがないのだ。「日米安保条約」「日米地位協定」の名の下で、日本国民だけは生命の危険に晒され続けているのである。事故機が日本国民の頭上を好き勝手に飛び回っている。

朝日新聞は繰り返される光景に、「およそ主権国家の体をなしていない、恥ずべき従属である」(12月14日社説)と言い切っている。これは政治思想の立場の相違を越え、日本人全体に対して真実を語ったものである。

【屈辱と恥の感性を失った民族は滅亡する】
翁長雄志知事は14日、防衛省で山本朋広副大臣と会談し、「子どもたちの安全がすべての大人の一番の関心事だ。多くの県民が憤っている」と強く抗議した。県内にある米軍機の全機種の総点検とその間の飛行中止を要求した。ことは日本国民全てに関わる生命・財産・安全の事柄であり、決して沖縄県のみに限定されることではない。

「日米安保条約」「日米地位協定」という人種差別の根元を放置しては、この種の事故は際限なく繰り返され、国家の尊厳としての主権は蹂躙され続ける。主権の蹂躙とは、とりもなおさず我々日本国民一人一人がその存在を脅かされることであり、極めて現実的な身近な問題なのだ。

こうした事態を放置しながら、「日米同盟」の更なる強化を宣(のたま)う安倍政権と歴代自民党政権の罪は余りに重く万死に値するといって過言ではない。

目のあたりにする屈辱的な数々の現実だが、これを日本人の尊厳を汚された屈辱、恥として自覚できないならば、民族としての生命力は尽き果てたと言っても良い。つまり屈辱と恥の感性を失った民族は滅亡するのである。

戦争で敗北して国家が滅亡したとしても、民族が生きながらえれば国家は再建される。民族が滅亡すれば国家の再建などあり得ない。これは歴史の法則であり、特に東ヨーロッパ(ポーランドなど)やバルカン半島を巡る近代史は、それを現実の出来事として我々の知るところである。

【国難を前に燃焼・爆発する民族精神】
日本は先の大東亜戦争で完膚なきまでの敗北を喫した。しかしながら、民族としての精神を堅持することによって日本は国家の滅亡をまぬがれて来た。だが、戦後72年を過ぎ、明治、昭和の薫陶を受けてきた世代が世を去って行く今、暗い先行きしか見えない。

では日本人の民族精神とは何か、大和魂であろう。もっと突き詰めて言えば、「大和魂とは国難を前に燃焼・爆発する民族精神」と定義して良い。

かくすれば かくなるものと 知りながら やむにやまれぬ 大和魂 (吉田松陰)
大和魂は己を飾るアクセサリーではない。国士を装ってつまむ酒の肴でもない。「燃焼・爆発する民族精神」とは、国家・民族を危機に陥れる敵と戦う武器、日本民族に与えられた究極の武器とは大和魂である。

翁長知事は「日本政府に当事者能力がない。こういう状況を強いられている沖縄県こそが最大の国難にあっている」(平成29年10月18日)と憤りを語った。まさに、沖縄県民と共に日本人全体が国難に遭遇している。

愛国を語る陣営よ!「小異を捨てて大同へ」の下で、沖縄県民と共に大和魂を掲げ、「日米安保条約」「日米地位協定」の破棄もしくは全面改定のために結集しようではないか。

 

 

 

 

 

 

 


 

トランプ大統領がエルサレムを首都に認定した愚挙に抗議する

12月12日、午後2時、アメリカ大使館近くのビル前に集合した「対米自立実行委員会」、「主権回復を目指す会」、および弊会は、米国のトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と宣言し、サインをしたことに対して米国大使館へ宣言撤回を求めて抗議行動を行った。

 

 大使館近くで抗議

事前に準備した抗議文をウィリアム・F・ハガティ駐日本国米国大使に手交すべくアメリカ大使館に向かったが、大使館側は受け取りを拒絶し、わが国警察に大使館へ向かう我々を阻止する指示をした。

 

 大使館への通行を阻止される

やむなく、集合場所にてエルサレムをイスラエルの首都と認定したトランプ大統領の愚挙を糾弾するとともに、それに対して明確な態度を表明をしないアメリカ追従的態度の安倍政権、およびアメリカの支配下にある警察機構に対しても強く抗議した。

 

 抗議文を読み上げる


なお、抗議文は15日にファックスにてアメリカ大使館あてに送付している。

以下は、当日手交しようとした抗議文の内容

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【エルサレムをイスラエルの「首都」と認定したことに対する厳重抗議声明】

 去る十二月六日、貴国トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの「首都」と認めるとともに、米国大使館をエルサレムに移転することを表明し、米国大統領令にサインした。
 しかし、この行為に対して、貴国に親近感を持つエジプト、サウジアラビアなどのアラブ諸国でさえ、「アラブ・イスラムの人々の感情に火を付けるもの」と一斉に反発し、正式に非難の声を上げている。すでに各報道に見られるように、世界各地では激しい抗議の行動が起こり、現地エルサレムでは、パレスチナ人の正当な抗議をイスラエル当局は暴力的に抑圧し、抗議者への弾圧から死傷者を出している。
 常に複雑な要素を含んでいるアラブ和平問題に関して、これまで貴国はテロ防止の立場から中立性を保った姿勢で関与してきた。しかし今回、一方的にイスラエル側の立場を支持するかの行為は、もはや本性を現し、仲介者としての役割を自ら放棄したものと言わざるを得ない。
 トランプ大統領は、先の大統領選挙において、「エルサレムをイスラエルの首都と認め、米大使館をエルサレムへ移転する」という選挙公約をあげて内外にアピールしてきた。よって、「それを実行したまでだ」ということなのであろうが、自己の満足感を得ようとするための行為は、あまりにも思慮を欠いた軽率な主張と行動でしかなく、一国のリーダーが行う行為としては、愚策以外の何物でもない。
 まさに、この愚かな主張と行動は「エルサレムを首都にする」というイスラエルの長年の夢を実現することであるのかもしれないが、これまでのイスラエル、パレスチナ双方の合意によって解決するという原則を逸脱するものであって、平和均衡を崩壊させるものでしかない。これは、来年の大統領中間選挙による、米国内にいるユダヤ系住民の票を当て込むことであるとともに、武器輸出ビジネスから自己利益を得ようとしていることに他ならず、秩序崩壊を狙った姑息なマッチポンプ利益の産物でしかない。平和かつ安定を求める世界の良識と大きくかけ離れたこの感覚と愚策を、我々は到底認めるものではない。強く再考を求めるものである。
 従って、我々は、アラブ和平問題に大きな影響を与え、国際情勢の不安定化に繋がる「エルサレムをイスラエルの首都」としての米国大使館移転の暴挙に対し、大統領令の即時撤回を求めるとともに、今こそパレスチナを国家承認していくべきことを訴える。その先頭にこそ、米国が立つことを強く求め、日本の愛国者として、ここに声明を発すものである。

平成二十九年十二月十二日

対米自立実行委員会 
主権回復を目指す会 
一   水   会 

駐日本国米国大使 ウィリアム・F・ハガティ  殿

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「第2回 日露平和条約締結促進国民大会」を開催しました

12月6日、ホテルサンルート高田馬場・大会議室において、「第2回 日露平和条約締結促進国民大会」を開催しました。

当日は、国会開催中でありましたが、本大会の主旨に賛同する現職国会議員3名が出席され、基調の挨拶を行ないました。

国会議員の方々をはじめ、全国各地からたいへん多くの方にご参加いただきました。会場は100名近くの方にお集まり頂き、昨年に続き、国民の意識の高さを感じることができました。
 
大会は日本国、ロシア連邦両国の国歌の演奏が行なわれ、開式となりました。
 
続いて、来賓の方々より、基調の挨拶をいただきました。

 



自由民主党参議院議員の丸山和也氏、同党衆議院議員の鈴木貴子氏、同党参議院議員西田昌司氏、元財務副大臣の小林興起氏、駐日ロシア連邦大使館員のアレクサンドル・コサチョフ氏、作家の鈴木邦男氏、市民活動家の西村修平氏から、日露関係をより深めるために何が重要なのかについて、それぞれの立場から貴重なお話を頂き、加えて、日露交流を続ける弊会への激励も頂きました。そして最後に弊会の木村三浩代表からは、日露平和条約の締結が「対米自立」、「ヤルタ・ポツダム体制打破」の第一歩に繋がることを改めて訴え、これからも実現にむけ、更なる活動に注力していくことを来場者の前で誓いました。

 

自由民主党参議院議員の丸山和也氏

 

自民党衆議院議員の鈴木貴子氏

 

自民党参議院議員西田昌司氏

 

元財務副大臣の小林興起氏


ロシア連邦大使館員のアレクサンドル・コサチョフ氏

 

 

作家の鈴木邦男氏

 

市民活動家の西村修平氏

 


一水会 木村三浩代表

 

 また、山梨学院大学名誉教授のコンスタンチン・サルキソフ氏、日露友好議員連盟事務局長・民進党の白眞勲参議院議員、元防衛大臣の久間章生氏からは、「第2回日露平和条約締結促進国民大会」開催に向けたメッセージが寄せられました。
 
 その後、大会決議文案が読み上げられ、満場一致の拍手で採択されました。
 
 日露平和条約締結促進国民大会決議文(案)

 戦後七十数年が経っているにも拘らず、日本国とロシア連邦国との間には、平和友好条約が未だに存在していない。この状況を日本政府首脳は、「平和条約がない異常な状態に終止符を打たなくてはならない」と公式に表明し、前向きな姿勢で臨んでいる。しかし、その機運を醸成しようと務めていない。これは一種の政治家の怠慢ではないのか。
 そもそも米ソ冷戦期の終了以降、今日に至るまでロシアとの関係改善が一歩も進まなかったのは、我が国における自主外交の方針を決定しようとする意志が皆無であったからに他ならない。徒に対米従属を続けてきていることは許されないことのだ。まさに、日本の自主的な主権外交を取り戻す証こそが、日露平和条約の締結にあるといってよい。また、これは戦後体制の打破、領土問題の解決にもつながるのである。我々はこの機運を国民全体に大いに盛り上げるため、活動を展開し、この姿勢を持つ人々との協力を惜しまないものである。
 就いては、日露関係に関する我が国の国益を守る立場から、今後の日露交渉において以下の内容を実現するよう、本国民大会は我が国政府に要求するものである。

一 日露平和条約締結に伴う北方領土の返還を速やかに実現し、極東アジアの安全保 障上の安定を期すことを求める。
一 現在日本政府が欧米諸国に同調して実施しているクリミアのロシア帰属問題での対ロシア経済制裁を、他国に先駆けて解除することを求める。
一 昨今の政府首脳による対ロ関係改善に理解を示し、この状況をさらに前進させ、クリミアのロシアへの帰属を承認するとともに、この状況での日露平和条約締結を実施することを強く求める。

以上三項目についてここに決議する。

平成二十九年十二月六日
日露平和条約締結促進国民大会運営委員会 
 
 2次会(忘年会ならぬ“望年会”)は50名弱の方が参加され、大盛況でした。

 大会の模様は、新年1月1日発行の「レコンキスタ」464号に掲載される予定です。
 

緊急シンポジウム『米朝核危機と日本―平和的解決を求めて』が開催される

緊迫した状況が続いている米朝関係ではありますが、その参考に先日行われた緊急シンポジウム『米朝核危機と日本―平和的解決を求めて』をご紹介致します。『レコンキスタ』に掲載予定でしたが、多くの方にご一読頂きたく、ブログにて掲載致します。

 

 

緊急シンポジウム『米朝核危機と日本―平和的解決を求めて』が開催される

 トランプ米大統領来日を翌日に控えた十一月四日、東京大学・駒場キャンパスにおいて緊急シンポジウム『米朝核危機と日本―平和的解決を求めて』(主催・早稲田大学韓国学研究所、東京大学韓国学研究センター、後援・岩波書店、新外交イニシアティブ)が開催された。
 北東アジアにおける最大の懸念・北朝鮮問題。戦争の危機をもたらす問題であるが、日本国内おける議論は対米追従一辺倒だ。そればかりか米国の威を借りての「北朝鮮征伐論」も横行している。だが、そこには「そもそも北朝鮮問題をどう考えるべきか」の議論がない。
 そこで、学術者、研究者等の知見を集めて「我々はどう考えるべきか」を議論する場として設けられたのが、今回のシンポジウムである。

 まず、主催者を代表して、岡本厚・岩波書店代表取締役社長が挨拶をした後、河野洋平氏(元衆議院議長、元外相)が登壇して来賓挨拶を述べた。要旨は以下のとおり。

〈北朝鮮を巡る状況では、外交による解決手段を探らねばなりません。
 外交とは水面下で行われる作業であり、表に見える事はありません。一方、軍事的手段は「目に見える解決策」なので、国民の関心はどうしても報道で流れるICBM、核兵器の脅威、空母や爆撃機による米軍の展開などに集まります。
 先の衆議院総選挙で、自民党は北朝鮮の脅威を「国難」だと訴えて支持を集め、大勝しました。しかし、軍事的解決を煽った先に何が待っているのか、安倍首相は覚悟をしているのでしょうか?
 国難であるはずなのに首相はトランプ氏とゴルフで接待をする予定だそうですが、本来なら国難解決の為に、夜を徹しでも議論を尽くすべきだと思います。
 私が外相を務めた頃も、外交方針が日米同盟が基軸ではありました。しかし、はたして日本は、いつまでも米政府の方針に唯々諾々と従うべきなのでしょうか。
現在のトランプ氏は本当に米国民の支持を得ていると言えるのでしょうか?
 世界中で米国と歩調を合わせている国は日本だけです。本来、北朝鮮の問題は北東アジア地域の問題であり、近隣国・韓国や中国とも協議し、理解を得なければなりません。特に中国は北東アジア地域における、日本のパートナーともいうべき国です。
 日本は唯一の被爆国として、核兵器による惨禍は二度とあってはならないと訴えてきました。しかし、今回の事態が最悪の方向に発展すれば、日本が戦後、発してきた非核の訴えは無駄となるでしょう。
 日本は被爆国の立場から、新たな核の惨禍を防ぐ様、米国を説得すべきです。日米同盟が本当に対等な同盟であるならば、日本の立場を堂々と主張し、訴えることができるはずです。〉
(河野氏挨拶要旨)


 続いて遠藤誠治氏(成蹊大学教授)が問題提起を行い、次いで柳澤協二氏(元官房副長官補)が、「米朝戦争の危機と日本の針路」と題する基調講演を行なった。
 要旨は以下のとおり。

〈戦争とは、国家が政治的目的を達成する為に暴力を用いた解決手段です。しかし現在の米朝危機において、「暴力」という選択肢を選ぶのは適切な判断と言えるでしょうか?
 戦争自体の正否を問うのではなく、「誰が」「何の為に」戦争をするのか、私達はまず考えねばなりません。
 「抑止力」が一つのキーワードです。「攻撃されれば相手に報復するぞ」という恐怖を与えて、戦争する意思を抑制させる。これが抑止力の本質です。
 日本の抑止力は、同盟国・米国の反撃が前提となっています。「日本のミサイル防衛が北朝鮮のミサイルを撃ちもらしても、米国が報復してくれる」―今年二月、国会で安倍首相は答弁していますが、米国の反撃は確実にあると言えるのでしょうか? 
 果たして、米国は自国を犠牲にしてまで日本を守ってくれるのか?今や、米国一極支配の時代ではありません。米国自身も感じています。「見捨てられるのではいか?」という不安を保護国・日本は抱いています。
 安倍政権による過度の対米依存の正体は、「見捨てられたくない」不安にあるでしょう。米国の戦争に巻き込まれ国民に被害が出ると想定されても、米国に媚びるのは、反撃の確証を得る為なのです。これが安保法制の根底にあるとも言えます。
 北朝鮮が日本を攻撃対象とみなすのは、在日米軍基地が国内にあるからとも言えます。隣国にある敵国の基地は、北朝鮮にとって脅威と言えるでしょう。
 その脅威を取り除くために日本を攻撃対象にしているのです。なら、日本が攻撃されない為には「米国から攻撃させない」という安心を与えるべきです。
 恐怖の代わりに安心を与える。これはもう一つの抑止力の本質と言えます。本来、二つの面が発揮して成り立つものですが、北朝鮮に対しては恐怖だけが先行し、抑止力は機能していません。
 もし、戦争によらない解決手段があり、戦争でもたらされる以上の利益が得られるのであれば、戦争をする理由はありませんね。
このパワーゲームは米朝が主役であり日本は当事国ではありませんが、結果次第では戦火に晒される恐れがあります。ならば、国土・国民に被害が出るような戦争を起こすべきではありません。私達はこれを前提に考えるべきでしょう。〉
(柳澤氏講演要旨)


 以下、平井久志氏(共同通信客員論説委員)が北朝鮮内部の論理を解説。そして韓国から参加の全在晟氏(ソウル大学教授)が、韓国の世論など、韓国内部の状況を解説した。
 次いで総合討論の場では、李鍾元氏(早稲田大学教授)の司会の元、多くのパネリストが順次発言をした。
 尾形聡彦氏(朝日新聞オピニオン編集部次長)がトランプ政権の対北朝鮮政策について述べ、朱建栄氏(東洋学園大学教授)が昨今の中朝関係について述べ、それぞれに活発な議論が交わされた。
 尾形氏によれば、トランプ氏が一番信頼を置く人物は自分の側近ではなく「シンゾー・アベ」なのだという。米政府内では「安倍晋三アジア・太平洋地域担当特別補佐官」だと揶揄されており、側近らが慎重な立場を保つ中「安倍補佐官」のみ強硬な意見を具申し、政権を煽っているという見立てがあるという。
 安倍政権とそれを支持する従米派は米朝戦争とそれによる北朝鮮の崩壊を望んでおり、こうした国内の強硬論者が戦争を煽っているとの分析も披露された。
 美根慶樹氏(元日朝国交正常化交渉政府代表)や和田春樹氏(東京大学名誉教授)はその点を危惧し、「北朝鮮による反撃におけるリスクを考えていない」「戦後の混乱への対処は?」と、米国任せの強硬論に対して疑問を呈した。
 最後に木宮正史氏(東京大学教授)が「北朝鮮問題は難題だ。だが、これを解決できれば北東アジアは長期的な輝かしい未来が待っている」と締め括った。
 確かに、この問題が日本だけでなくアジア全体に飛躍のチャンスをもたらすこともあるのかもしれない。
 日本は、拉致問題もあり、北朝鮮情勢となるととかく感情に流されがちになる。さらに問題なのは、米国が解決してくれると妄信し、頼りきりにしている状態だ。
 核の脅威に晒されているのはほかならぬ我が国である。日本は我が国本位の立場から、対米従属によらない解決策を模索しなければならないのだ。今回のシンポジウムはそれを考える好機であったといえるだろう。

(三村真一朗)
 

一水会機関紙「レコンキスタ」12月号(第463号)発刊

一水会機関紙「レコンキスタ」12月号(463号)を発刊しました。

 

 

月刊「レコンキスタ」12月号は発送作業を行ない、購読者の皆様には順次お届けしております。お楽しみにお待ちください。

 

 一面に、「神社本庁は原点に立ち戻れ」と題し、神社本庁をめぐる一連の問題を本紙独自の総力取材のもと掲載。また、神社本庁を解雇されるなどの処分に職員側が無効確認を訴えた訴状の要約を掲載しています。

 

 二面に、「平成二十九年度 三島由紀夫・森田必勝両烈士顕彰祭」開催報告、「『主権なき平和国家』を読む 上」を掲載しています。

 

 三面には、三島・森田両烈士顕彰祭追悼記念講演、大下英治先生による「三島由紀夫の天皇観」を掲載。

 

 四面には、連載「清水信次の宰相論」第52回、代表活動日誌を掲載。

 

 五面には、民族派動向~連帯そして前進、「三島先生本籍地において慰霊祭が行なわれる」、「小林興起氏主催による勉強会が開催される」、芝田晴彦氏による「何故、基地建設に反対するのか」などを掲載。

 

 六面に、安積明子氏による連載「安積明子の永田町往来」第10回、連載「石井至の世界放浪記」第60回、神谷容道氏による「日本の主権を取り戻すために日米地位協定改定、日米合同委員会の情報を開示せよ!」、曙光を掲載。

 

 七面には、「鈴木邦男の新平成文化大革命」第28回、山口正之氏による四コマ漫画「リモコンとビール瓶」、「仲井富の運動漫遊記」第34回、「塩見孝也氏が亡くなる」を掲載。

 

 八面の【ワールド・パトリオティック・ニュース】では、「平和と安定のクリミアを国際社会は承認せよ!」、西村修平氏による「始まったトランプ大統領の反撃・逆襲」を掲載しています。

 

全面要注目記事満載で、今号もたいへん充実した内容となっております。
是非、ご一読のほど宜しくお願いいたします。

 

 既存のマスメディアにはない視点と切り口で、日本そして世界を照らす「レコンキスタ」は毎月発行、通常新聞サイズ全8ページ、500円。

 

 お求めは都内取扱店、または一水会ホームページからどうぞ。購読申込みもお待ちしております。

 

  ※「レコンキスタ」取扱い書店紹介
◇ 書泉グランデ
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-3-2 4階
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◇ 模索舎 
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-4-9
電話 03-3352-3557  FAX 050-3505-8561
営業時間 11:00~21:00(年中無休)  ※日曜日のみ 12:00~20:00

 

◇ タコシェ
〒164-0001 東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ3F
電話 03-5343-3010 FAX 03-5343-4010
営業時間 12:00~20:00(年中無休)