週刊一色塾 Vol.401
2021.03.30(国語科:高村康典)
さて、「自慢」シリーズは一休みです
(そろそろお腹いっぱいですよね?笑)
が、せっかくなので、「自慢」シリーズのスピンオフから始めたいと思います。
前々回、「キセキ」を起こして早稲田大学・教育学部・国語国文学科に合格した関堂君のエピソードが当ブログで紹介されました。
この国語国文学科は、英50点,国75点,社50点 という配点になっています。
国語に自信のある人が全国から集まってきます。
そして、ご存知だとは思いますが、早稲田の入試は国語の問題が非常に難しいことで有名です。
更に、教育学部は早稲田の中でも特に国語の難易度が高めの学部です。
国語?日本語でしょ?日常的に使ってるし勉強しなくていいよね
というなめた感じの人は(※ほとんど)門前払いを食らいます。笑
※除:天才
まあ、教育学部に限らない、というか早稲田に限らないわけですが。
しかし、某関堂君も、高2の途中までは国語をちょっとなめてた気がします。
高2の冬期講習から古文の受講を開始し、ここで、
やべえ
と気づきます。
そう、国語は「やばさ」に気がつくのが遅れがちなんですね。
僕がよく例えに使うのは「レスリング」です。
野球、サッカー、ボクシング、あるいは将棋 etc.
多くの物に「プロ」と「アマ」があります。
でも、今挙げたものは、細かいルールの違いはあるにせよ、プロでもアマでも同じ競技であることは誰が見ても分かります。
国語以外の受験教科はこれなんです。
学校を中心にやってきた英語の勉強がアマチュア野球だとすると、受験英語の勉強はプロ野球、というような違いなんです。
同じ競技だけど難易度が違う、ということです。
ところが、国語はレスリングなんです。
学校を中心にやってきた国語がアマレスだとすると、受験の国語はプロレスなんです。
逆でも良い。
難易度の違いではなく、そもそも別の競技じゃないのかということです。
「同じ“レスリング”を名乗って良いの?」っていうレベルで違いますよね。
アマレスに「No DQマッチ」「ラダーマッチ」「バトルロイヤル」なんてありえません。
そもそも、アマレスとプロレスは、バトルフィールドから違います。
さて。
某関堂君も、「受験の国語って難しいんだろうな」とうっすら思ってはいたでしょう。
しかし、想像以上の違いにたじろぐわけです。
そこで、高3の春期講習からは現代文も受講し、最後は早稲田に合格という「キセキ」を起こしました。
もちろん、もともと国語の素養もありました。
直観的に核心をとらえる能力が比較的高かったのは事実です。
だから、現代文はそこまで苦労せずに済みました。
しかし、古文は最後にギリギリ間に合った、という感じ。
では、古文はどういう勉強をすればできるようになるのでしょう。
①古典文法
②古文単語
③古文常識
身につけなければならない知識はこの3つが主です。
これらは古典の文章を読む上での道具です。
しかも、英単語・熟語はあわせて数千という数を覚えなければならないのに対し、覚えるべき古文単語はせいぜい500語ほど。
文法といっても、同じ日本語なので、根本からまったく異なるわけではありません。
古文常識は現代との違いを興味深く感じつつ、ウンチクのような感じで楽しく勉強できるでしょう。
これだけを本気で身につけようと思えば、2ヶ月でできるかもしれません。
この一見すると「楽そう」なのが罠なのです。
次の例文は『源氏物語』で、光源氏が自分と別れて地方へ下る女のもとを訪ねたシーンでの一文です。
この例文のなかで、学習すべき単語と文法を書き出してみましょう。古文常識は今回まったく必要ありません。
【単語】
あはれなり・・・しみじみ心を動かされることだ。
ながむ・・・①物思いに耽る ②ぼんやりと眺める ③和歌を口ずさむ
ここら・・・①たくさん ②非常に
【文法】
恨みきこえ給ふ・・・「きこゆ」は「言ふ」の謙譲語。ここでは恨みごとを言われる人を敬う。「給ふ」は尊敬語。恨みごとを言う人を敬う。
ぬ・・・強意の意味を持つ助動詞。
べし・・・当然の意味を持つ助動詞。
どうでしょうか?
単語と文法さえ分かれば意味が分かりますか?
何だか、情報が足りていないように感じる人が多いと思います。
そう、古典文学の読解で、最も困難なのは 省略の多さ です。
主語は何の前触れもなく変わるし、大事なことに限って遠回しに表現したり省略したり・・・
恨みごとを言うのは、自分を捨てて地方へ下る光源氏だろう、と主語を推定しなければなりません。
で、つらさが消えるのは誰でしょう?
そもそも、ここで主語が変わるかもしれない、という可能性を感じることすら難しいのかもしれません。
だから、「恨みごとを言っているうちに、気持ちが晴れてきたことを言っているのかな」なんて、主語を光源氏のままにしてしまう人もいるかもしれません。
しかし、そうではなくて、地方へ旅立つ前に光源氏が訪ねてきて話をしてくれたことで、つらい気持ちが和らいだ、ということなんですね。
さらに、当時の人間の思考行動パターンや現代社会との違いについての知識(古文常識)や文学史の知識も総合的に駆使し、学校等で習ったことの無い初見の古文を読んで設問に答える・・・。
これはなかなかの芸当です。
ありきたりですが、小さい頃から読書が好きだった人、というのは比較的身につくのが速いでしょう。
そうでない人は苦戦しますが、それでも高2の1学期から受講してくれれば、間に合わせてみせます。
が、高3からだと苦戦しつつ苦悩を味わいます。
結果、間に合わずに終わってしまう人が出てくるのは紛れもない事実です。
古文だけを勉強するならともかく、他教科もありますからね。
それでも、何とか「足を引っ張らない」程度にはしておかなければなりません。
もちろん、スタートが遅れたとしても、真剣に取り組む人はこちらも真剣にサポートしますので、一緒に頑張りましょう!
最後に、一色塾の古文のカリキュラムを大まかに紹介します。
〓高2〓
1時間目【文法】
2時間目【読解】
※各期講習の特別講座を除く。
ちなみに、古典の文法というのは、【用言の活用・敬語の用法・助動詞の意味判別・係り結び・呼応の副詞・助詞・文法の応用問題】が主だった項目で、助動詞が絡むと難しくなってきます。
しかし、高2から始めれば重要な文法事項を繰り返し勉強できるので、余裕をもって身につけることができます。
当たり前ですが、スタートが遅くなると、繰り返しの回数が減ります。
読解は、様々なジャンル(物語・説話・日記・評論・随筆/平安時代・鎌倉時代・江戸時代の文学)の文章を取り上げ、無理なく読解の力を積み上げていけるように構成しています。
〓高3〓
●1学期
ハイレベルクラス
1時間目【読解】
2時間目【テスト演習】
基礎標準クラス
1時間目【文法】
2時間目【読解】
●2学期
1時間目【読解】
2時間目【テスト演習】
※全クラス共通
ハイレベルクラスは文法が身についていることを前提とするので、文法の授業は一切ありません。
まだ十分な力が付いていない人は、基礎標準クラスで1学期に重要な文法事項を総ざらいしますが、当然ながら相当なスピードで進んでいきます。
休まないことがまず重要。
そして、真剣に、必死に復習をして余すところなく血肉化してもらう必要があります。
※それでもまだ不安な人のために夏期講習で文法に特化した授業を設けますが、これが本当に最後の機会となります。
読解は、高2の頃よりも長くなり、難易度は少しずつあがって夏以降に実戦的な問題に取り組めるように仕上げていきます。
ハイレベルクラスは最初からすべて実戦的で難易度の高い問題を扱います。
テスト演習は入試問題を想定した総合的な問題です。
20分で問題を解いてもらい、30分で解説をする形式です。
なお、高1の古文は夏期講習から始まり、ゆっくりじっくり進んでいきます。
自信のある人もない人も早く対策を始めましょう。
アマレスとプロレスの違いにご用心。
では最後に、現世での御利益が期待できる観音様を本尊とするお寺の写真。
古文にもよく登場するお寺です。
①清水寺(京都) 千手観音
②石山寺(滋賀) 如意輪観音
③長谷寺(奈良) 十一面観音