ここでは、英検1級1発合格術にこだわらず「ためになる英語」学習に関して、役立つ本を案内していきます。
35冊目は「不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳になれた理由」(田中慶子著」です。
題名からお分かりとは思いますが、いわゆる「ビリギャルもの」ではあります。
こういう「劇的な人生大逆転!」をうたう書物について、本ブログ筆者は、あまり好ましく思っていません。
なぜか。
読んでみて、わがことのように感じ、読んだ後にそれをまねして本当に起死回生の努力をできるのは、本当に稀である、と感じるからです。ああ、わたしもこうしたいといって、だいたい三日坊主ではないでしょうか。
何故なのか。
それは、作り手の、つまり編集者とか出版社の、これでもかといったほどの「劇的」演出や著者への促しも、透けて見えていやらしく感じるからです。
しかし、この本を読むと、そういうたぐいとはやや違う感じがしました。
それは、この著者の逆転劇が、決して直線的、単線的ではないからです。
まず、米国留学に、なんの計画性もない。
そんないい加減さのせいなのか、ホームステイ先の世話焼きおばさんが大学入学を決めてくれたというので、入ってみたら、高校やり直しだったとか。
あるいは、いよいよ大学進学に進もうかという時にも奨学金を取るためのTOEFL550以上をもくろんでいたのに、実際は530点だったとか。
しかし、結果的には進学担当の高校教師の助けを借りてニューイングランド大学と言う私立の学校に奨学金付きで入ることに成功します。
そこでまた、この大学がいわゆる「レジャーランド」していることに気づき、別の大学に転学します。
このときは、TOEFL600以上まで学力を伸ばしただけでなく、卒業時には成績優秀者までにもなっています。つまり、やっと本当の「やる気」になったのです。
いや、もっと正確にいったほうがいいかもしれません。「やる気」と「効率的な学習法」を自分の中にしっかりと備えることができたのです。それまでのいいかげんさとか軟弱さから抜け出して、自主性や忍耐力といった「確かな戦う武器」を手に入れたのです。
ところが、そんな栄えある成績優秀者も日本に戻って、さらに相当の長いでこぼこ道をだどっています。一流の同時通訳者になるまでにです。
が、ここから先は実際に読んでみていただきたいと思います。
自分も20代のころ広告制作で一旗揚げたいと思ったときには英語など、ましてや英検1級とかビジネス英語とか別世界の出来事だったのです。
にもかかわらず、40半ばを過ぎてそういう世界に入ることができて、そんなに悪くはない「英語屋」人生をおくることができている。これも、決してそれは直線的な「ビリギャル的な」起死回生の逆転劇ではないのです。
そのあたりで、ちょっと読みにくいこの本の文章を追跡しつつ、結構うなづかされるところがありました。
もう一つこの本で際立ってるところがあります。
それは、巻末に
「学んだ英語」を使える英語に
と題して自分がたどってきた道から、効率的な「英語学習法」をかなりのページを割いて説明しているところです。
もちろん、このブログをお読みで英語学習を既にある程度進められている方なら、これらの説明も「なんだまた、シャドウイングかよ、知ってるよ」とおっしゃってしまうような内容かもしれません。
ところが、いや、きめ細かに読んでいくと、そうでもない。そんなに簡単に「知ってるよ」「やってみたけどさ」とは言い切れないようなノウハウと言うか練習方法も埋め込まれています。
ご自分なりにその埋め込みを発見してみてはいかがでしょうか。
以上、英語の参考書には載っていないかもしれませんが、あなたの英語学習の参考になればと思い、書き記してみました。