ここでは、英検にこだわらず「ためになる英語」について説明をしています。
数年前、外国人旅行客が年間3,000万人の大台を超えたころの話です。
場所は東京メトロの地下鉄車両内。夕方の通勤時で座席は全てふさがっているけれども、ぎっしり満員というわけでもありませんでした。
そこに、外国人の男女一組が乗ってきたのです。お互い、30歳から40歳くらいでしょうか。
ところが、この女性の背負っているバッグの2か所とも、ポケットのジッパーが全開なのでした。
当の女性はもちろん、相手の男性はそんなことお構いなく、おしゃべりを続けています。
そのまま、見過ごしてもいいかなとは思ったものの、一駅は、様子を見ることにしました。そのうち、どちらかが気が付くかもしれないので。
しかし、全くそんな様子はありませんでした。
自分が降りる駅も近づいていました。
そこで、降り際に男性に声掛けをしました。
Excuse me ?
と。
それから、なんですか、と言った顔の男性に向かって、バッグで開いている部分を指差しつつ、
Zip up, please ! (ファスナー上げてください)
と続けました。
すると、二人とも、「ああほんとだ」と言った顔をして
あわてて、2か所のファスナーを閉じ、そして、Thank you とは言わなかったのでした。
そのかわり、たどたどしい
Arigato
が耳に入りました。微笑みもあったように記憶しています。
そして、電車のドアが開き、自分はそこで降り、軽く彼らに手を振りました。
日本人が海外で無防備で、つまり、「いかにも旅行者」といった派手な格好をしたりして、安全意識が希薄なことはよく話題に上ります。
が、その一方で、このように外国人の中にも、無防備というか、のんびりしている旅人がいることはいるのです。
よく見てみればです。
しかし、そんなときに日本人は、適切に対処できるのでしょうか。
いや、道案内はしているですって?
悪くはありませんが、スマホがある時代、いつまでこだわるのですか。
タクシーに財布などの忘れ物をしても、きちんと出てくる、元の持ち主に届くではないですかって?
その話をいつまで繰り返すのですか。
もちろん、筆者のしたこの行為が「最適解」と、言うつもりはありません。
親切と言うわかりやすい言葉に丸めてはいますが、自分は日本を守るためにしたつもりです。特にその時は、警備会社に勤務していましたから。
そこで、こう考えるのです。
つまり、日本が本当に「平和で安全な国」と言うのであれば、それはとりもなおさず、一人一人が支えていくものでしょう。
英検だのTOEICだの、英会話教室で鍛えた方であれば、その実力をもし出し惜しみするとしたら、それは自分には解せません。
そんな「お勉強のためお勉強」をいつまで続けるのですか。
いや、英語の先生や先生になろうという方なら、まだしもです。
このあたりについての意識が、もう少し変わっていくことを望みますし、こうして注意喚起していきたいと思います。
ちなみに、自分がなぜジッパーを開けっ放しの女性に直接声をかけずに、男性の方に声をかけたのか。
そこにも、ちょっとした意図というか工夫をしたつもりです。
一つには、女性の方が見ず知らずの日本人に声をかけられて警戒する、そのリスクを避けるため。
もう一つは、相手の男性にできるだけ客観的に事実を見てもらうためです。
外国では、このような親切めかした行為から、グループで盗難や詐欺をする輩がいる。そう誤解されないためでもありました。
以上、あなたの英語、英会話上達のヒントにしていただければ、幸いに思います。