松江・大根島のビール旅、最終回の今回は大根島の特徴的な地形をご紹介します。(前回までの記事はこちら→予告編、その1、その2、その3、その4)
大根島は、火山島なのにとても平坦な形をしています。最高地点でも42mしかない「日本一低い火山」だそうです。(出典)
(松江観光協会 八束町支部より)
それは、大根島が玄武岩の火山だからです。玄武岩の溶岩は粘り気が小さく流れやすいため、溶岩が薄く広がり平らな形を作ります。
(島根半島・宍道湖中海ジオパークより)
"粘り気が小さく流れやすい"という玄武岩の特徴がよく分かる地形に「溶岩トンネル」があります。大根島には2つの溶岩トンネルがあり、下記は竜渓洞(第2溶岩トンネル)の地上入口です。
(島根半島・宍道湖中海ジオパークより)
溶岩の表面は冷えて固まったけれど中身はまだ高温の液体状態という段階で、何かの拍子に液体が流れ出してしまうと空洞(トンネル)が残るという原理です。粘り気が小さい玄武岩質ならではの地形ですね。
(竜渓洞入口付近の案内看板より)
洞穴ってなんかワクワクしますよね~!竜渓洞(第2溶岩トンネル)の内部はこちらのVR映像でバーチャル見学できますが、実物を見学したい人は事前予約(自然観察指導員の案内が必要)すれば見学可能(→詳細)だそうです。今回は子連れ旅だったので断念しましたが、大根島に来たなら是非とも寄りたいジオスポットです。
最後に、子連れでも立ち寄りやすいジオスポットとして波入港親水公園をご紹介します。その3で訪れた由志園から車で数分の場所にあります。
弁天島という無人島に橋が架かっており、穏やかな中海を眺めながら散歩できます。
(波入港親水公園の案内看板より)
ローラー式滑り台にも大興奮!めっちゃ楽しい&気持ちいい!(^^)
さて、大根島の地形の話に戻りまして、公園内の説明看板に注目です。
冒頭に書いたとおり、大根島はとても平坦です。降った雨はすぐに地下へ浸透してしまうし、中海(塩水)の水面もすぐそこに迫っています。さぞや淡水の調達に苦労してきたのかと思いきや、意外にも井戸を掘ると淡水が出てくるそう。その秘密は「淡水レンズ」という地下構造にあります。
(波入港親水公園の案内看板より)
上図の点線部分に水を遮断する特別な地層がある訳ではありません。塩水と真水は密度が違うので、風などの影響を受けない地下では2層に分離して混ざり合わず、レンズ状の貯水体が形成されるのです。(不正確かもしれませんが、水の上に油を垂らすとレンズ状に浮くイメージで僕は理解しています。)
この淡水レンズのおかげで、波入港親水公園の近くには中海の水面と同じ高さの淡水の池が存在したりします。これを大根島の人々は洗濯などの生活用水として活用してきたそうです。
(波入港親水公園の案内看板より)
大根島の名産である牡丹の栽培も、淡水レンズの湧水なしでは語れなさそうです。
大根島の土は、大山や三瓶山からもたらされた火山灰由来の黒ボク土。黒ボク土は、水はけや通気性が良い上、有機物を多く含んでいるため、牡丹の栽培に適していました。しかし、川のない大根島では水を入手するのが困難です。いくら栽培に適した土壌でも水がなければ作物を育てることはできません。そこで利用したのが淡水レンズの湧き水。この水は、牡丹にとっても「命の水」だったのです。
出典:島根県
以上、大根島の地形に着目してご紹介させていただきました。今回は0歳児連れの旅だったので島内の一部しか巡れなかったのが残念ですが、逆に言うと、車さえあれば0歳児連れでも気軽に行けちゃう島です。羽田からのアクセスも良いのでおすすめです。
そして、訪れた際はもちろん、大根島醸造所のビールをお忘れなく!(^^)