『鴨川ホルモー』万城目学 | 京都市某区深泥丘界隈

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綾辻行人原作『深泥丘奇談』の舞台、京都市某区深泥丘界隈を紹介します。内容は筆者個人の恣意的な感想に過ぎず、原作者や出版社とは関係ありません。

 『鴨川ホルモー』は、大阪府出身で、京都大学法学部を卒業された万城目学先生のデビュー作です。京都大学へ入学した新入生・安倍が、鬼や式神を使って争う謎の競技「ホルモー」を行う「京大青竜会」というサークルに入会し、「京都産業大学玄武組」「龍谷大学フェニックス」「立命館大学白虎隊」と対戦する、奇想天外な青春ファンタジー小説です。本木克英監督、山田孝之主演で映画化されましたので、こちらでご存じの方も多いでしょう。

 

 

 

 上の写真は京都大学の東に位置する吉田神社です。「京大青竜会」はここで「代替わりの儀」という非常に重要な儀式を行い、それによって新入生は鬼や式神を操れるようになります。吉田神社は、「忘却と追憶」のところでもご紹介したように、「鬼」と密接な関係を持つ神社ですので、正に「代替わりの儀」行うにはうってつけの場所というわけです。儀式の奇妙奇天烈な内容については、触れることは出来ませんので、本を読んでいただければと思いますが、映画でも原作通りに吉田神社の境内で行われていることに驚きました。内容が内容だけに実際にロケの許可はおりたのか、別の場所で撮影した後背景を合成したのか、気になるところです。

 

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 上の写真は、映画で山田孝之演じる主人公の安倍が下宿している「銀月アパートメント」です。小説では安倍は丸太町に下宿している設定ですが、「銀月アパートメント」は京都市某区北白川にあります。『人形館の殺人』のところでご紹介した琵琶湖疎水と御影通の交差点から北へ200mくらいのところにあります。昭和レトロ感あふれる建物で、原作のイメージにピッタリのアパートです。大島渚監督や画家・竹久夢二が住んでいたという真偽不明の情報がネットで散見されますが、そんな噂にも説得力を持たせてしまう魅力にあふれています。ひょっとすると、『人形館の殺人』に登場する、「緑影荘」のモデルなんじゃないかと勝手な想像もしてしまいます。