『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』武田綾乃 | 京都市某区深泥丘界隈

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綾辻行人原作『深泥丘奇談』の舞台、京都市某区深泥丘界隈を紹介します。内容は筆者個人の恣意的な感想に過ぎず、原作者や出版社とは関係ありません。

 『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』は、2013年に刊行された、武田綾乃先生の第2作目となる作品です。その後、続編が第10作まで刊行されており、京都アニメーションによってアニメもされ、人気シリーズとなりました。『響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ』では、小学校からユーフォニアムを始めたヒロイン黄前久美子が、北宇治高校吹奏楽部に入部し、夏の京都府吹奏楽コンクールに出場するまでが描かれています。

 

 京都府立北宇治高校は、以前は吹奏楽の強豪校でしたが、現在はすっかり低迷していました。しかし、久美子の入部と同時に顧問に就任した滝昇は全国大会を目指し厳しく指導し、はじめは戸惑っていた部員たちも、受験や恋愛、友人や家族との関係等悩みを抱えながらも乗り越えていき、技術面精神面で成長していきます。

 

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 上の写真は、岡崎公園内にある「ロームシアター京都」です。『京都府警あやかし課の事件簿』のところでご紹介した平安神宮の南隣にあります。かつては「京都会館」と呼ばれており、改装後の2016年からネーミングライツにより「ロームシアター京都」と呼ばれるようになりましたが、今も正式名称は「京都会館」です。小説ではここで京都府吹奏楽コンクールが行われる設定で、実際に2011年まではここで開催されていました。

 

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 上の写真は「京都コンサートホール」です。深泥池の南約900mのところにあります。アニメ版では、ここで京都府吹奏楽コンクールが行われる設定で、実際に2012年以降はここで開催されています。京都会館が2012年から改装工事に入ったためです(リニューアルオープンした2016年だけロームシアター京都で行われました)。小説は2013年に刊行されたので、おそらく2011年以前の取材をもとに書かれており、アニメ版は2015年に放映されたので、2012年以降にロケーションされたためだと思います。

 

 武田先生は、作品の舞台にもなった京都府宇治市出身です。高校は、京都市右京区の京都府立嵯峨野高等学校に進学し、その後同志社大学文学部在学中に『今日、きみと息をする。』を宝島社主催の新人賞である第8回日本ラブストーリー大賞に応募し、受賞とはならなかったものの「隠し玉作品」として、2013年5月に宝島社文庫から出版され作家デビューされました。小中学生時代に吹奏楽部へ在籍しており、その時の体験が『響け! ユーフォニアム』に生かされているようです。自由曲のナイジェル・ヘス『イースト・コーストの風景』演奏シーンの緻密な描写は、読みごたえがあり、曲が頭に浮かんでくるようです。アニメでは、シーズン1最終回で、原作にコンクール課題曲として登場する架空の楽曲『三日月の舞』を自由曲として演奏します。松田彬人氏が素晴らしい曲に仕上げ、芸術的ともいえる京アニのアニメーションと相まってアニメ史上に残る名場面となっています。是非、小説もアニメも両方ご覧ください。