『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文 | 京都市某区深泥丘界隈

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綾辻行人原作『深泥丘奇談』の舞台、京都市某区深泥丘界隈を紹介します。内容は筆者個人の恣意的な感想に過ぎず、原作者や出版社とは関係ありません。

 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は、2014年に発行された七月隆文先生による恋愛小説です。

 

 主人公の南山高寿は、七月先生が卒業した京都精華大学がモデルと思われる美大に叡山電車で通学しています。通学電車の中で出会った福寿愛美に一目惚れし、彼女が下車した「宝ヶ池駅」で一緒に途中下車して声をかけます。連絡先を交換していないにもかかわらず、翌日、授業の一環で動物園でクロッキーを描いていると、なぜか愛美が現れ、クロッキーを見て「教室に張り出されるやつだ。」と予知めいた言葉をつぶやきます。その後すぐに二人は意気投合し、交際がスタートしますが、クロッキーが実際に教室に張り出されたり、誰にも見せていない高寿の自作小説のヒロインの名前を知っているなど、彼女の言動には不思議なところがありました。そしてある日、高寿は彼女から俄かには信じがたい秘密を明かされることになります。特殊設定が用いられていますが、SF的要素は少なく、あくまで切ない恋愛小説です。泣かせてくれます。第3回京都本大賞を受賞し、2016年には福士蒼汰、小松菜奈主演で映画化もされていますので、こちらでよくご存じの方も多いと思います。ちなみに、以前ご紹介した『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が第1回、『京都寺町三条のホームズ』が第4回、『京都府警あやかし課の事件簿』が第7回京都本大賞受賞作です。

 

 
 高寿と愛美が初めて言葉を交わす叡山電車「宝ヶ池駅」です。映画でも実際にロケで使われました。映画公開当時は、ホームのベンチに福士蒼汰と小松菜奈のサインがあったそうですが、今は見当たりません。
 

 

 

 「宝ヶ池」です。ここも二人にとって大変重要な意味を持つ場所です。

 

 


 ガーデンミュージアム比叡です。比叡山山頂にある印象派絵画に描かれた風景を再現した庭園です。琵琶湖を望む絶景も楽しめます。原作には登場しませんが、映画では高寿と愛美の気持ちにずれが生じる場面で登場します。滋賀県かと思いきや、住所は京都市某区修学院だそうです。びっくりしました。
 
 
 七月先生が卒業された京都精華大学です。ここも映画でロケに使われています。叡山電車「宝ヶ池」から「鞍馬」方面に4駅離れた「京都精華大前」にあります。写真は京都精華大学のHPからダウンロードさせていただきました。ありがとうございました。
 
 小説と映画では微妙に場所の設定が異なるところもありますが、どちらも深泥丘界隈がふんだんに描かれています。是非両方ご覧いただければと思います。