2月8日からは春節・中国の旧正月だ。この春節ホリデーを利用した観光客に日本の地方都市が沸いているらしい。

中国経済の下降に世界中から注目が集まる中、これまで欧米を豪遊していた富裕層が近場の日本へシフトしたせいもあり、中国人の訪日者数は過去最大になった。ただ、訪問先がこれまでとちょっと違う。いわゆる「爆買い」をメインにした秋葉原や銀座を主としてツアーではなく、個性を前面に押し出した地方へと分散しつつあるようだ。

山梨県の押野八海では、名水で作った豆腐や神秘的な富士の眺望など癒しを提供する内容でPM2.5に苦しめられる中国人のハートを掴んだ。

静岡県の清水市では「ちびまる子ちゃんランド」がマニアックなファンで賑わっている。

和歌山市内の黒潮市場(どこにでもある水産物直売所)にもかかわらず、口コミで広がったのか、連日のようにマグロの解体ショーに中国人観光客が押し寄せているという。

恐らく、個人旅行の習慣が定着し始めた中国で、旅行者の選択肢が広がりつつあるのだろう。日本人より日本を楽しもうとする現象は、それと同時に問題視されていたマナーの改善に繋がっているという。

私も以前は、順番を守らない、大声で話す、トイレの使い方が非常識など随分嫌な思いをしたが、彼らは知らないだけなのだ。お客様を向かえる側が根気よく教えてあげなくてはいけなのもしれない。

そして、もう一つの発見は、地方の町や村も上手にPRすれば、どんな土地にもチャンスはあるということだ。何がヒットするかはわからない、でもやってみなくては何も始まらない。中国人観光客はそれを教えてくれた様な気がする。
正月にスターウォーズを観た。スペースファンタジーとしての世界観はやっぱり凄い!ルーカスは天才だと思う。でも、何かしっくりこない。日本の正月映画「寅さん」とはあまりにもかけ離れた国の映画だから。そして、このしっくりこない感は、大統領候補予備選でのトランプ氏の支持率の高さと妙に重なる。

トランプ人気の背景についてざっくりと説明をすると、彼が主張する不法移民とテロリスト排除の演説が、文化的保守(移民の増加による雇用不安や治安の悪化に怯える白人の低所得者を中心とする)と、財政保守(リバタリアンよりの思想の持ち主や、自由至上主義に熱狂する一部の成功者)の両者の心を掴んだからだ。上品だが力不足の共和党のエリートよりも、品位にかけるアメリカンドリームの体現者を好む国は、常に戦うことで多くのモノを手に入れて来た「前向きで明るい拝金主義」の国であることは間違いない。

映画が娯楽か芸術かはさておき、あらゆる作品が経済活動の中で作られる以上、純粋な芸術など存在しないことを前提としても、拝金主義がもたらす影響は大きい。生産性ゼロ、人生のお手本とはほど遠い寅次郎のような人間にハリウッドがスポットを当てることはないだろう。ヒーロ・ヒロインは若く美しく、逆境に耐えながら悪に立ち向かう勇者でなくてはいけない。

何故か?
愚者の心情や敗者の美学などにスポットを当てれば「成り上がりたい」という欲求を削ぐことになるからだ。何かに向かって突き進むことによって生まれる消費や投資、挑戦者である限り尽きまとう所有欲。それらがアメリカ経済を支えていることは事実で、マネーメイクこそ社会的意義であると考える人々は、負け組や弱者に安らぎ与えるよりも、向上心を煽ることで更なる経済活動の無限ループへ引き込むのが狙いなのだ。

トランプ氏の爆発的な人気はそれを裏付けるには十分だ。もはや拝金主義と自由至上主義と排他的思想が入り交じった得体のしれない塊となって過激な思想へと動き始めているアメリカ社会が今後どこへ向かっていくのか。私たちは慎重に見極める必要があるだろう。

とはいえ、SWが駄作だったかと言えば、決してそうではない。充分楽しめた。
ただ、寅さんの愚行に笑いながら涙した頃の日本を取り戻したいと思っただけのことだ。
金星探査機「あかつき」が順調に金星の軌道に乗ったようだ。これまで「地球の兄弟星」と言われながら、その多くが謎とされていた金星の大気や地表面の情報を収集することが「あかつき」のミッションで、これらの情報もとに、地球の比較対象として金星の観測が進めば、未だ謎とされている温暖化や火山活動など、地球で起きている様々な現象の解明に繋がるという。

宇宙開発そのものの意義や功績もさることながら、今回の成功は5年前の軌道投入失敗からの再チャレンジであることや、1998年の「のぞみ」の火星軌道への投入断念に始まる苦難の連続だった惑星軌道への打ち上げの新たな一歩となったことも注目を集めている。未知なるものへの憧れとか、不可能への挑戦というのは人類不変のテーマで、みんな大好きなストーリーだから。

不可能を可能にする要素の一つに予算がある。(このあたりは、すぐに無駄だと仕分けされてしまう政党もあるのかなぁ)

言うまでもなく、宇宙開発が継続していく為の最も重要な鍵は、研究費を捻出することであり、その為には民間企業による宇宙ビジネスへの投資を拡充し、ロケット製造費や打ち上げコストの低価格化を図る必要がある。日本では三菱重工業が政府より移管され打ち上げ事業に参入しているが、米国の宇宙ベンチャーに比べれば大きく遅れている。そこで、2008年の宇宙基本法や2015年の新宇宙基本計画に伴い、研究開発中心の宇宙開発から、宇宙の利用や産業振興を強化する方向に舵を切り、民間事業に裁量持たせた低価格衛星の打ち上げをメインとする宇宙インフラの整備を進めている。

直接見えないからわからないけれど、地球の周りには既に無数の衛星が周回しているわけで、もはや、宇宙にロマンを抱く時代ではなくなりつつあるのかもしれない。かつてライト兄弟が飛行機の発明に没頭していた頃、空は自由の象徴だった。今や、格安航空会社まで出現し、空は航空路で埋め尽くされている。恐らく宇宙開発もやがては同じ道を辿るのだろうが、私には「はやぶさ!お帰り!」「あかつき!頑張れよ!」と無邪気にエールを送るこの時代が、身の丈に合っている様な気がする