金星探査機「あかつき」が順調に金星の軌道に乗ったようだ。これまで「地球の兄弟星」と言われながら、その多くが謎とされていた金星の大気や地表面の情報を収集することが「あかつき」のミッションで、これらの情報もとに、地球の比較対象として金星の観測が進めば、未だ謎とされている温暖化や火山活動など、地球で起きている様々な現象の解明に繋がるという。

宇宙開発そのものの意義や功績もさることながら、今回の成功は5年前の軌道投入失敗からの再チャレンジであることや、1998年の「のぞみ」の火星軌道への投入断念に始まる苦難の連続だった惑星軌道への打ち上げの新たな一歩となったことも注目を集めている。未知なるものへの憧れとか、不可能への挑戦というのは人類不変のテーマで、みんな大好きなストーリーだから。

不可能を可能にする要素の一つに予算がある。(このあたりは、すぐに無駄だと仕分けされてしまう政党もあるのかなぁ)

言うまでもなく、宇宙開発が継続していく為の最も重要な鍵は、研究費を捻出することであり、その為には民間企業による宇宙ビジネスへの投資を拡充し、ロケット製造費や打ち上げコストの低価格化を図る必要がある。日本では三菱重工業が政府より移管され打ち上げ事業に参入しているが、米国の宇宙ベンチャーに比べれば大きく遅れている。そこで、2008年の宇宙基本法や2015年の新宇宙基本計画に伴い、研究開発中心の宇宙開発から、宇宙の利用や産業振興を強化する方向に舵を切り、民間事業に裁量持たせた低価格衛星の打ち上げをメインとする宇宙インフラの整備を進めている。

直接見えないからわからないけれど、地球の周りには既に無数の衛星が周回しているわけで、もはや、宇宙にロマンを抱く時代ではなくなりつつあるのかもしれない。かつてライト兄弟が飛行機の発明に没頭していた頃、空は自由の象徴だった。今や、格安航空会社まで出現し、空は航空路で埋め尽くされている。恐らく宇宙開発もやがては同じ道を辿るのだろうが、私には「はやぶさ!お帰り!」「あかつき!頑張れよ!」と無邪気にエールを送るこの時代が、身の丈に合っている様な気がする