これにより、理論上は、外国に在留する外国人の方が、単独で日本において株式会社を設立できることになりました。
しかし、株式会社設立後、税務関係、銀行関係、事務所・店舗等設置のための行程において、事実上、各作業が滞る可能性が高いのではないかと思われます。
税務署等への法人設立届出においては、日本国内に連絡先がない場合、納税管理人の選任を求められる可能性があります。
銀行における法人口座の開設においては、発起人、代表取締役共に日本に住所がない場合、外国に本店がある外国法人と異なり、他に本拠地がない内国法人であるため、その実体性に疑義を持たれ、合法的な業務の遂行がないものと判断され、口座開設を拒否される可能性が高いと思われます。
日本人が発起人となり、かつ日本人が代表取締役である法人についてすら、履歴事項証明書、定款、印鑑登録証明書、税務署への法人設立届出書控、株主名簿、代表取締役の本人確認資料、場合によっては、事務所等の賃貸借契約書などの提示を求められ、必要書類の提示が完了後更に1,2週間かけ審査をした後、ようやく普通預金口座開設の手続きのための来店要請が来るという、非常に慎重な取り扱いがなされていますので、発起人、代表取締役共に日本に住所がない場合には、事実上、口座開設ができないものと思われます。
ちなみに、発起人が外国在留の外国人の方、代表取締役が日本人または日本に住所のある外国人の方である場合には、通常の場合と同じように口座開設が可能です。
事務所・店舗等の賃貸借契約においては、その株式会社の発起人、代表取締役共に日本に住所がない場合、賃貸人が賃借申込みを承諾せず、今後の事業経営の本拠となるべき事務所・店舗等を設置できない可能性があります。
理論上、代表取締役が日本に住所を有しない株式会社の設立が可能になったとはいえ、現段階では、本年4月以降に「経営・管理」4月の在留資格認定証明書が交付され、それに基づき来日後、事業経営開始の準備を進める、もしくは、日本側協力者の協力を得て事業経営開始の準備を進めることが効率的であるとら考えられます。