こ僕がまだいたいけな少年だった頃、瀬戸内でアコウ(キジハタ)と云えば、正真正銘マボロシの高級魚でした。僕が初めてこの魚を釣り上げたのは淡路島の丸山漁港で、それこそ今から半世紀も昔のことですが、釣った本人よりも僕を釣りに連れて行ってくれた叔父の方が興奮していたのを今でもよく憶えています。
今から30年前の頃でも50センチを超える大型になると、デパ地下で5万円を超える値札が付いていました。何でそんなことを憶えているかというと、よく仕事をサボってデパートで涼んでたからなんです。今の僕はその成れの果てというわけですね(´_ゝ`)
ところが稚魚放流の影響でしょうか、アコウは今でも陸っぱりから釣るにはやや難儀な魚ですが、昔と比べるとすっかりポピュラーになってしまいました。ただ岡山の田町でたまたま隣り合わせたジーサンは、アコウが稚魚を食べてしまうのでメバルがめっきり少なくなったとボヤいていましたね。じゃあ何でガシラ(カサゴ)は減らないんですか?などと子供じみたツッコミはやめたまえキミ。
アコウの希少性が後退した現在、前回に続きそのマボロシ度で俄然注目を浴びているイセギ(シブダイ)釣りに行ってきました。本当に美味しい魚なので人気のほども頷けるところではありますが、故にメジャーなポイントへはなかなか入りづらくなってきましたね。そんなわけで今回は初めてのポイントに入るべく単独釣行を決行したのでございます。
この日はややお腹を下し気味で、慌てて飛び込んだ「海の駅東洋町」。右手のキャンプスペースには所狭しとテントやタープが設置されていましたよ。暑いのに大変だよね。
いつものように定位置で波のチェック。イイ感じです(^-^)v
これなら見当をつけていた場所でやれる。。。と確信をもって現地に到着したのは15時を廻った頃でした。が、釣り場を確認すると。。。
さっきの浜の穏やかさはマボロシか?と我が目を疑う波の高さです。釣り座が波カブっとるやんけ(;´・ω・)。
諦めて向かった第二ポイントは漁港に入ってすぐに先客ありと判明してこれまたUターン。困ったなぁ。。。
お初のポイントで釣る、が本日のコンセプトです。ボーズでも帰りに気まずくならないように単独釣行としたわけで、今更おめおめといつもの場所へ入れるかってんだ
と、謎の使命感で何とか場所を確保するに至ったのは時刻にして16時頃のことでした。それにしてもクルマから距離がある上、波止はキャリーカートや台車が使えない構造で、運動不足のキモデブおやじには相当キツイ道程でした。極めつけは最後の10メートル、ここだけ波を被るんですね。波が引いた瞬間を狙って駆け抜けるんですが、重い荷物を担いでヨロヨロ前に進むのみ。とても駆け抜けるなんて芸当は無理ゲーでございます。
さて、猛烈な暑さにふらつきながら「それらしい」ポイントへ順次仕掛けを投入していきます。
何本目かの仕掛けを準備しながら先に入れた竿に目をやると、竿先がグーッと入るのが確認できました。アタリだよね?アタリかなぁ。。放っておいたらダメかなぁ。。。要するに暑すぎてあまり動きたくないんですね
根に入られるのも嫌なのでよっこらしょと竿を立てると何かが乗ってますが只重いだけです。
ガシラ(カサゴ)だと予想しながらリールのハンドルを回していましたが、海から姿を現したのは30センチほどのアカハタでした。アコウの陰に隠れてあまり話題に上りませんが、コイツの食味も侮りがたしであります。
<食卓を賑わすには丁度いいですね>
エサを付け替えて同じあたりに投げ込むとまたもやアタリ。仕掛けを回収すると、今度は35センチくらいのモンツキ(クロホシフエダイ)が釣れてきました(写真撮り忘れ)。九州南部でイセギが”シロテン”などと呼ばれるのに対しこいつは”クロテン”です。関西ではそもそもイセギの存在があまり知られていなかったこともあってか、黒か白か?という区別はなく、黒い点を称して”紋付き”と呼んでいます。なかなかシャレた名前だと思いますね。少なくとも”クロホシフエダイ”より遥かにセンスは上です。
<この写真は2021年のもの>
コイツもイセギと比べるのはかわいそうですが、タマミなんかとは十分張り合える食味です。アカハタに続き迷いなくキープしましたよ。
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連続していたアタリも陽が落ちてくるに従ってだんだん落ち着いてきました。今日の潮周りなら今がチャンスです。
と、竿先がグィっと入り、竿尻がポーンと跳ね上がりました。典型的なイセギのアタリですね。竿を立て、急いで魚を浮かせます。
<イセギ(シブダイ)41センチ>
サイズはやや不満ですが、ともあれ釣れてよかったです。今日の釣りも満足マンゾーだね釣り始めて2時間も経ってませんが一匹釣れればハッピーなのであります。
この後一発激アタリがあったのですが、竿を手に取った時は既にハリスを切られていました。この辺りで釣っていると一晩に一度はこんな事が起こります。正体はタマミが濃厚ですが、まー運よく取れればラッキーくらいに考えてますよ(^_^;)
今日は満月。釣りのコンディションとして満月はgoodという意見もあるし、badという方も多くて正直よくわかんないんですが、この釣りに関して確実に云えるのは、満月の夜釣りはコイツが増えますね
相変わらず波が治まる気配はなく、本日も日付が変わる前に納竿しました。帰りの体力が残っているうちにクルマへたどり着かなくてはいけません
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今回も何日か寝かせながらその味を楽しませてもらいました。この手の魚は脂の乗りに個体差が大きいので状態をみながら寝かせる日数を決めていただければよろしいかと思います。今回は三日目あたりが丁度よかったですよ。
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UAは好きなヴォーカリストですが、この映像はFishmansのライヴにゲストとして出演したときのもの。茂木欣一と柏原譲のリズム隊が素晴らしすぎておしっこ漏らしそうです。