「光あるところに影がある」、この昭和の忍者アニメにも使われた名言は森羅万象に通じるものらしく、デジタルもその例外ではありません。本書で紹介している話は主に光の面を捉えて話していますが、その裏には影もできています。
たとえば日常的なことで言えば、迷惑メール(スパムメール)のような預かり知らないメールが勝手に届くのもその1つです。多くは宣伝目的でしょうが、中にはリンクや添付ファイルをアクセスしてしまうと不当な商品を勧められたり、場合によっては犯罪に巻き込まれることも起こりえます。
法人の場合では、添付ファイルにコンピューターウイルスを仕込んだ、より悪質な犯罪に合うこともあります。たとえば、会社の重要ファイルなどがウイルスプログラムによって使えないようにロックされてしまい、金銭を支払わないと解除しないと脅される犯罪(ランサムウェア:身代金犯罪)の被害が実際に少なからず報告されています。
また、SNSで不当に誹謗中傷され、それがどんどん拡散され、その結果、自殺に至ってしまったという悲しい出来事も起きています。最近では、若者がSNSでのやりとりで、オレオレ詐欺や強盗に巻き込まれたりするケースも増えているそうです。
とても怖い話ですが、これらの影(暗黒面)の行為もコンピューターやソフトウェアなどの機械がやっていることではなく、みな人間がやっていることなのです。いいことに使う人がいれば、悪いことに使おうとする人も出てきます。これは、現実社会の刃物や銃などと同じことです。デジタルも、刃物や銃と同様に善悪の判断はなく、それを決めているは我々人間なのです。
ただ、現実社会との大きな違いがあるのは、悪いことも光の速度で伝わり拡散するということです。またムーアの法則で、100万倍にも増強される可能性があるこということです。つまり、被害が信じられない速度で伝わり、信じられない規模で起こる可能性があるということです。
考えてみれば、私たちは通常、怪しそうなお店や変なチラシに書いてある電話番号には注意するし、駅の掲示板には実名や電話番号などの個人情報は書かないようにしていると思います。そうゆう常識やルールが、デジタルにこそ重要になっていると思います。そのためには、デジタルについての正しい知識を持つことがとても重要です。
ーーー
<この話のToPへ>