デジタルがこの世に登場してから、すでにそれなりの時間が経っています。デジタルの登場がいつだったかについては見解の揺れがありそうですが、いまのように多くの人が使えるようになった出発点という意味を重視するなら、世界初の民生用1チップのマイクロプロセッサIntel 4004」が登場した1971年だとする考え方には説得力があります。この見解に賛成するなら、デジタルはその登場からほぼ半世紀が経過したことになります(2023年現在)。

 この間にさまざまな事が大きく変化してきましたが、その中でも一番恩恵を受けているのは人間、それも個人だと思います。皆さん自身のパワーが、半世紀前とは比べものにならないほどに拡張されているのです。人間の五感の例でみましょう。

口(声が届く範囲)
 かつての一個人の声(意見)が届く範囲は、拡声器を使ったとしてもせいぜい半径数十メートル、手紙なら数百通くらいが限界だったでしょうか。それが現在は、eメール、SNSやYouTubeなどの動画配信サービスを使えば、世界中に、瞬時に、それもほとんどタダで伝えることができます。米国のトランプさんが大統領に当選したのもこの力が大きいと言われていますし、仕事経験のない若者がYouTuberとして人気になっているのもこのパワーのおかげです。

目・耳(見聞きできる範囲)
 口と同様に目、耳も拡張されています。いまはLINEなどのSNSを使えば、遠くに離れていても恋人、家族や故郷の同級生たちの「声」をいつでも聴くことができます。大リーグで活躍する大谷選手の一挙一動を即座に知ることができるのもこのパワーのおかげでしょう。

みんなと会える
 半世紀前だと、複数人と会うにはみんなで集まるしかなかったと思いますが、いまはLINEやFacebookなどのビデオ通話機能を使って、みんなの顔を見ながらオンラインで会話ができてしまいます。ビール片手にちょっとした同窓会ができそうです。ビジネス面ではオンライン会議機能により自宅に居ながらにして会議参加ができるようになり、コロナ禍ではテレワークとして大活躍しました。

 いかがですか、我々の持っている口、目、耳の機能が、いまやデジタルパワーで大きく拡張されていることに気づかれたでしょうか。やる気になれば、地球の裏側まで届く声でしゃべり、地球全体で起きていることを聞ける目や耳を持ち、世界中の人たちと会合ができるスーパーマンになれるというわけです。

 

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