デジタルの成長速度は恐るべきものです。
たとえば身近なところで、パソコンの内蔵メモリー容量で見てみましょう。現在(2023年)の高性能パソコンの内蔵メモリー容量は16ギガバイト程度ですが、1979年に日本で最初に発売されたパソコンと言われている日本電気のPC-8001の内蔵メモリー容量は16キロバイトでした。つまり、44年間で約100万倍に性能が進化しています。
ハードディスクドライブ(外部記憶装置)については、1981年くらいに5メガバイト程度だったものが、現在は4テラバイト程度になっており、こちらも42年間で約100万倍です。
通信速度についてはどうでしょう。パソコンで通信ができるようになったのは1981年くらいからで、その速度は300bps程度でした。いまでは無線LAN(Wi-Fi)で300メガbps以上は出ていますから、ここでも42年間に約100万倍に進化しているのです。
100万倍ってどんな数字かイメージできますか?
人が歩く速度は時速4Kmと言われていますが、その100万倍は時速400万Kmで、ジェット機の5000倍も速いのです。また、休みなしで1時間かかる仕事があったとして、100万倍の速さでやったら0.09秒で終わってしまう速度です。
実は、これが「ムーアの法則」と言われるものの実態です。ムーアの法則とは、CPUで有名なインテル社を創業した一人のゴードン・ムーア氏が提唱した将来予測(予言)で、CPUなどに使われる半導体回路の集積度が2年で2倍になるという指標です。
先の例をおおまかに約40年の進化と捉えれば、2年に2倍なので、2の20乗(2^20)で約100万倍(1,048,576倍)になるという計算です。先の実例をみてわかるように、この予言はいままで、現実と大きく外れることなくいい当てているのです。
2年で2倍とは、数学の言葉で言えば指数関数的で爆発的なパワーです。これを利用した場合と利用しない場合では圧倒的な差が付くのは当然です。デジタル化の比喩として、「竹槍と鉄砲」や「馬車と戦車」などありますが、これらのたとえは控えめな方で、現実はもっと差がある話なのです。
特にビジネスに積極的に利用した場合は顕著で、同じコストなら2年後は2倍の生産性を得ることができますし、逆に同じ生産性でいいなら2年後は半分のコストでやっていけます。このことがどれほど驚異的かは、商売の経験がない方でも想像できるのではないでしょうか。
実際に、いまや誰もが知っているマイクロソフト、アップル、グーグルやアマゾンなどのデジタル企業が世界的ジャイアントになった根源的な理由は、このムーアの法則にあると言っても過言ではないでしょう。
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