新型コロナウイルスのせいで流行り言葉になった「テレワーク(telework)」ですが、これは「tele:遠く」と「work:仕事」の合成語で、遠く離れたところで仕事するという意味です。
コンピューターやネットワークのおかげで、デスクワーク系の仕事なら、オフィスに出勤しなくても、直接に顔を合わせなくても仕事ができるようになってきました。すばらしいことです。
同じように「テレ」が使われている言葉として、皆さんご存じの「テレフォン」や「テレビジョン」があります。テレフォンは遠く離れたところでの音声―つまり電話、テレビジョンは遠く離れたところでの映像—つまりテレビです。古くは「テレタイプ」(離れたところでの印字)などもありました。この流れで考えると、人類は遠く離れていてもいろんなことができるように、発明・開発してきたことが伺えます。
改めてテレワークという言葉を考えると、文字から音声、映像、そして仕事とそれらが電子の力(最近はデジタルの力)で徐々に高度なことが実現されてきたのがわかります。
ところで、テレワークよりやはり実際に顔を合わせて(リアルで)仕事をするほうがいいという意見があります。それは当然です。テレワークはデジタルの力で、遠く離れていてもあたかも会っているかのように仮想的(バーチャル)に表現するテクノロジーです。リアルに会うのに比べれば劣っているのは当たり前なのです。
しかしそのおかげで、今回のようなコロナ禍で人々の接触が制限された環境下でも仕事を(完璧でなくても)することができました。またコロナに限らず、身体の不自由な人、または海外のような遠距離に居る人でもその恩恵に預かることができます。
テレワークについて別の観点で言えば、実際に移動して会うのに比べて、圧倒的に安いコストでそれに近い機能を得ることができる、とも言えます。リアルでは会議室が必要ですし、移動のための交通費がかかります。何より同じ時間、同じ場所に参加者全員が集まるための調整コストが高くつきます。実は、リアルが一番コストがかかるのです。その反面、一番濃厚なコミュニケーションをはかることができます。
私たちは歴史的に、先にリアルがあって、最近になってバーチャル(この場合はテレワーク)を体験しているので、リアルを標準と考えてしまいます。しかし、テレワークが実現されたこれからの社会においては、両方の特徴を理解して利用することが求められます。
実際、テレフォンやテレビはそうやって社会に定着してきたことと思います。いまは、「電話で話すより実際に会って話したほうがいいので電話は必要ない」なんて思ってる人はいないでしょう。
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