第3245段 刈谷のめつたいくやしいの悲恋物語
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和7年5月17日
刈谷市文化協会所属の短歌部会の
月例歌会に次の歌を
高津波村の 医王寺の僧に 恋こがれ
憤死せしとふ めったいくやしいの墓
事前に提出し臨みけり。
此の歌のモチーフは刈谷市に伝はる【刈谷の昔話】の中の一つの
現地を取材しての作なり。
【刈谷の昔話】に曰く
「今は昔、高津波村の見目麗しき医王寺の若き僧に一目惚れの
今岡村の洞隣寺に働く醜女の下女が振られ
その嘆き悲しみから憤死し、火の玉となり恋しき僧のゐる
医王寺を目指して【めつたいくやしい】と絶叫しつつ
飛び行けり」とぞ伝はりけり。
世に数多ある悲しき恋の物語の一つとぞ覚えけり。
その医王寺と洞隣寺を参拝し
【めつたいくやしい】と伝はるその娘にも
「お花」とか「お梅」とか「お里」とかの固有名詞があるはずなれど
名前の伝はらぬことこそ哀れとぞ覚えけり。
※【めつたいくやしい】の【めつたい】とはこの地方の
昔の方言にて【とても】とか【非常に】の意味の
【めちゃ】ではと覚えけり。