第2858段 連作『近江の国にて』其の拾伍 続・在原業平の騙りの供養塔
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和6年の早春
念願の近江の国へと行き
滞在したる折の連作を
令和6年4月10日発行の
その男の所属する「桃の会」の機関紙である
桃の会たよりの56号に
『近江の国にて』と題し連作15首を発表し
評価を世に問ひけり。
その拾伍首目の作は
その男 都を追はれし 落ちぶれの
貴人住みて 業平告りしか
五輪の供養塔の主とは何らかの事情に因り
京の都を追はれ、流れさすらひ
この地に辿り着き糊口を凌ぐ
方便として地方にても名高き歌人である
在原業平卿を名乗りたるかとも
想像し懇ろに掌を合はせ菩提を弔ひけり。
涙、垂りつつ合掌礼拝し
罷り去りけり。