第2850段 連作『近江の国にて』其の漆 三橋節子の絶筆の花折峠
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和6年の早春
念願の近江の国へと行き
滞在したる折の連作を
令和6年4月10日発行の
その男の所属する「桃の会」の機関紙である
桃の会たよりの56号に
『近江の国にて』と題し連作15首を発表し
評価を世に問ひけり。
その漆首目の作は
母と見し 三橋節子の 絶筆の
「花折峠」 再び会ひぬ
この絵画の『花折峠』とはこの地方の民話の
「気立ての優しい娘が嫉妬に狂ひたる別の娘に
激流へと突き落とされし時、峠の花が一斉に折れて
優しき娘の命を救ひたる話をもとに、自分の癌からの
奇跡の回復を祈りての作なり」
哲学者にして作家の故・梅原猛先生に絶賛され
その著書である『湖の伝説―画家三橋節子の愛と死』
に詳しいのであるがこの絵画を初めて見たのは
今を去る約40年前にて母を思ひ出しての作なり。