第2849段 連作『近江の国にて』其の陸 鯖街道の花折峠
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和6年の早春
念願の近江の国へと行き
滞在したる折の連作を
令和6年4月10日発行の
その男の所属する「桃の会」の機関紙である
桃の会たよりの56号に
『近江の国にて』と題し連作15首を発表し
評価を世に問ひけり。
その陸首目の作は
鯖街道の 花折峠を 越えて行く
乙女の姿 うつつ浮かび来
捌街道とは若狭の国は小浜と京都を結ぶ約90キロの街道なり。
古来より御食つ国である若狭の海産物を京の都へと運びたる道にして
最も多く運ばれたるのが鯖しして
小浜にて塩にし、京の都に着く翌日には程よく塩が馴染み
京の人々の貴重なるタンパク源となりたる歴史の道にて
花折峠は京の都に入る最後の難所なり。
その花折峠の哀しき民話をモチーフにして描きたる
三橋節子の絵画の「花折峠」は彼女の遺作となりたる名画なり。