第2750段 連作『初句切れの歌』其の拾弐 落としけり
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和5年12月5日付けの
立春知立短歌会の季刊発行の歌誌『立春』283号に
【初句切れの歌】と題し連作15首を発表し
評価を世に問ひけり。
その12首目の作は
落としけり 小銭入れをやまたしても命にあらねば笑ひてすます
最近は手袋の片方を紛失し
道に落としたるハンカチは数知れず
他に財布、携帯電話 などなど
多くの物を紛失せしが、かうして生き長らへて
笑ひつつ日々を過ごせれば差支へなく
鷹揚に人生を捉へて生まれ出でたる作なり。