第2607段 尺取虫の行動予測に危機感を覚えての処置
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和5年7月の中旬の或る日
信州は白馬の道の駅に立ち寄り
ベンチにて暫し憩ひて
歌を
車道へと 尺取虫が 進みゐる
危ないですよ 歩道を行きね
尺取虫とはシャクガ科の蛾の幼虫の総称なり。
歩く時、屈伸運動の様が指にて尺を取るに似たれば
付きたる名前なり。
而して、その個体 車道に出づれば轢かれ死ぬ
危険性を認識してゐるとは思へず
歌のやうに車道と歩道の区別も知らず
彼の独特の歩行術にて進みゐれば虫なれど【無視】も出来ず
安全なる叢へと移送し生を全ふすることを願ひ別れけり。