第2487段 水の歌 其の拾壱
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和5年3月3日付けの
立春知立短歌会の季刊発行の歌誌『立春』280号に
【水を】と題し連作15首を発表し
評価を世に問ひけり。
その11首目の作は
龍神に 水を願ひて 叶ふなれば
愛し娘を 差し出すとぞ
歌の心は奥美濃の揖斐川上流域に伝はる
昔話の「夜叉ヶ池」をモチーフとして生まれたる作なり。
その内容は或る年、日照りが続き民百姓は困り果て
水を司る龍神様へある百姓がその娘と引き換へに
降雨を願ひ出でその後、龍神は雨を降らせた。
農作物は枯れずに助かり、代はりその娘は…
悲しき伝承とぞ覚えけり。