新編・伊勢物語 第2175段 ふるさとの山の山桜 星原二郎第2175段 ふるさとの山の山桜 昔、男ありけり。今も男あり。 その男 令和4年4月中旬の或る日 近くの公園の桜の散りゆくを観て 歌を ふるさとの 本宮山の 山桜 まなこ瞑(つぶ)れば 鮮やかに見ゆ と詠み、笠木透の詩の一節に 「眼を閉じてゐたほうがよく見えるような…」 と、老境を歌ひたる事を思ひ出しつつ 桜吹雪を見続けけり。 ※「本宮山」とはその男の故郷である三河の地は 穂の国の秀峰であるわが死の後の霊魂の 逝く聖なる山なり。