第2134段 汝妹への榻の端書
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和4年2月の或る日
惚れたる女人ありて逢ひたる後に帰り来て
振り返りよたび歌を
汝妹への 榻の端書 遺し逝く
笑はれようとも 浪漫派なれば
この歌はかつて汝妹と深き関係に
ならざる頃を思ひ出しての作なり。
※「榻の端書」とはかって平安の世に
絶世の美女と謳はれたる小野小町へ恋焦がれたる
深草少尉の伝説にて百夜通へば受け入れつとの
小野小町を信じ九十九夜通ひ遂に死に絶へるのであるが
夜ごとに通ふ牛車の榻に回数の印を付けた事に因り
男の熱烈なる恋心を謂ふ譬へのことなり。
※結句の「浪漫派」とは正式には「日本浪漫派」の事にて
その男の師事せし師の文学界での流派のことなり。