第1917段 感情を噯にも出さず会議へ向かふ
昔、男ありけり。今も男あり。
その男 令和3年7月4日
千草会短歌会の月例歌会に
次の歌
胸に宿す 怒り悲しみ 噯にも
出ださず今日の 会議へ向かふ
を事前に提出し臨みけり。
歌の心はその男の堅気の会社員時代を思ひ出しての作なり。
往々にして会社と云ふ組織も個々の構成員の意向に大きく
乖離したる決定を下すことがあり、その時の無念やるせなさ
を懐かしみて生まれたるなり。
而して歌会での評価は、【怒り悲しみ】の具体性が無い
との指摘もあれど上位の得点となりたるは
偏に共通の経験を得たる者多き理由とぞ覚えけり。
※【噯】とは【げっぷ】の事にて
慣用句として【噯にも出さない】が使用される。
その意は【或る物事を深く秘して少しも口に出して言はず
それらしき素振りをも見せぬ】ことなり。