第1735段 病院を出る時の挨拶
昔、男ありけり。今も男あり。
その男令和二年十月二十五日
伊予の国は松山にての
第38回子規顕彰 全国短歌大会に
次の歌
二つなき 一つの命 躯(むくろ)ゆゑ
診察終へて 「お大事に」応ふ
を投稿し吉報を待ちけり。
歌の心は病院にて退出の折に
掛けられる言葉といへば決まって
「お大事に」なれば、その男
「さうしやう」と応じ罷り出でけるを常とし
その事実に即し生まれたる歌なれど
選者の眼鏡にかなはざれば
入選歌集に載ること叶はざりけり。
無念なり。