第1662段 海軍工廠の御粗末なる防空壕
昔、男ありけり。今も男あり。
その男、令和2年10月の秋晴れの或る日
三河の国は豊川市の平和公園へと行き
広き園内を歩き廻り防空壕の跡地に佇み
歌を
掩蓋(えんがい)は 御粗末にして 防空壕
500ポンドの 爆弾に耐へれぬ
と詠みけり。
掩蓋とは防空壕の天井部分の覆ひの事なり。
防空壕のそのものも浅く簡単なる板を天井に覆ひ
薄く土を盛りてなればや到底
アメリカ軍の爆弾に耐え得る事はなく
多くの犠牲者を出したる原因なれば
悲しみはわが胸を占め改めて深く冥福を祈りけり。