新編・伊勢物語 第千五百六十七段 みちのくへの旅は 星原二郎第千五百六十七段 みちのくへの旅は 昔、男ありけり。今も男あり。 その男 令和二年六月二十九日 名古屋港を出航し仙台港へと行く 太平洋フェリーに乗船し 今年もみちのくの各地の歌枕、温泉、地酒を 巡る旅へと行きけり。 出航し まもなく 歌を 今年また みちのくへの旅 出で行くよ わが裡(うち)にまだ マグマ燃えゐる と詠み 老いたれど旅への憧憬 止まざるは 其の男の先輩しして、旅と酒と歌とを 生涯 愛したる若山牧水の影響なりとぞ覚えけり。